テーマ:食のある風景(19)
カテゴリ:食となかま♪
助産師 内田美智子さん。別の顔は「弁当の日」の宣教師。その美智子先生が火曜からうちの職場で断食にチャレンジされています。
その先生からお昼ごろ声をかけられました。「剛史先生が、『断食中はミニセミナー開くと空腹がまぎれますよ!』っていうんだけど、みなさん、ご都合つくかしら。」えぇ!いいんですか?昨年11月に同断食ドックに参加された剛史先生も、断食中にファシリテーター講座を開講してくださいました。事前に美智子先生にも声をかけてくださっていた様子。ありがたいお申し出をいただき、今回も、職員向けに「ミニ講演会」をお願いすることになりました。 美智子先生は福岡で産婦人科医であるご主人とともに30年、2500人以上の赤ちゃんを取り上げてこられました。感動の場面に立ち会う一方で、10代の子たちの中絶や性感染症など、数多くの性のトラブルにも直面されています。そんな思春期の子供たちの境遇の多くに共通しているのは、 「ちゃんと食べさせられていない」 ということ。今、出産した母親で離乳食を手作りしているのは約3割。残りの7割のうちの半分は、ベビーフードも買わず、離乳食も作らないのだそうです。バナナ、プリン、ヨーグルトなどのデザートや果物とミルクを飲ませ続けられる赤ちゃんたちは、とにかく「泣かないように、ぐずらないように」育てられます。生きるために必要な食をないがしろにされることで、大事にされていない、愛されていないと感じて育った子どもたちが何もできずに母親になっていく姿を見て、「食べることは生きること」と食育の必要性を強く感じられた美智子先生が、とびついたのが、「暮らし」「家族」に目を向けている竹下先生の「弁当の日」だったといいます。 私は何度か美智子先生のお話をお聞きしていましたが、働きながら子育て真っ只中の母親には、「ずきん」と胸にささる話がたくさんあります。それは客観的に「そんな母親もいるんだ~」ではなく、自分自身が「後ろめたさ」を感じるところがある、思い当たるところがあるからだと思います。 特に働きながら子育てしていると、「大変でしょう?」と声をかけられることが多いですが、ずばっと本質をついてくる人は身内といえども、いなくなりつつあります。「大変だから」とおもいやる気持ちから、おばあちゃんが、育児と家事を一手に引き受け、共働きの夫婦は家に寝にかえるだけという生活を繰り返す人も多く、実際にそんなおばあちゃんたちの中には今、うつ病で苦しむ人が増えてきています。暮らしの時間をなくし続けても、言い訳できるものがあれば、後ろめたさも感じませんが、時には本質に切り込んでくれる瞬間も必要。その役割を担う人がいなくなってきているような気がします。 美智子先生の語り口には、現実を知っている人だけの「強さ」「厳しさ」があります。先生の講演では有名な、写真のスライドと共には流れる音楽。今や「内田方式」と呼ばれ、私も時々この手法を使わせていただくこともあるのですが、人の心を揺さぶり、感動を与え、涙を誘います。でも、それはやっぱり、「内田イズム」があってこそなのだとつくづく感じました。 実家の横に引っ越してきてから、両親に甘えすぎずにすんでいるのは、ふと内田先生の顔が浮かんでくるからかもしれません。だから先生は今のままで「内田イズム」を伝えつづけてください!と話すと、にこっと「そう?じゃ、もちょっとがんばろうかな。」と笑顔で答えてくれました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年04月24日 05時45分58秒
[食となかま♪] カテゴリの最新記事
|
|