書評:『命のカウンセリング』 長谷川泰三著
2010年6月2日(水)書評:『命のカウンセリング』 長谷川泰三著命のカウンセリングあさ出版様より献本御礼!!ども。Kentです。カウンセラーっていう職業は知っていても、実際にカウンセリングを受けた方は少ないのではないでしょうか?本書は「心理学会のブラックジャック」と異名をとる著者との事。これは非常に楽しみです。読書の目的:カウンセリングとは何かを学ぶ読書の目標:設定せず目標T\:設定せず※T\とはTIME×YENの略であり1T\は1時間である。目次:第1章 心の感覚の麻痺と向き合う第2章 出生のトラウマ(心的外傷)と向き合う第3章 私がいちばんの問題を抱えていた第4章 自殺未遂と再起第5章 私がカウンセラーになるまで第6章 命のカウンセリング第7章 苦しむすべての人へ感想: 平成21年中における自殺者の総数は32,845人で、前年に比べ596人(1.8%)増加した。※警察庁統計による 著者は死にたいと思っている方専門のカウンセラーです。 15歳で交通事故に遭い、一生歩けなくなった車椅子のカウンセラーです。また、複雑な家庭に育ち、若くして自立しなければならず自らも自殺未遂を起こすという壮絶な過去を持っています。 人はどうしても著者のそうしたハンディキャップについて目を向けてしまいがちです。私自身、実は読む前はそうした情報に関して素直に読むことが出来るのかという心配をしていました。しかしながらそれは全くの杞憂でした。プロのカウンセラーとして著者は凄い。何故凄いのかというとそれは本書を読めばわかります。 本書では実際のカウンセリングの数々を体験できるのですが、そこで語られている絶望なまでにリアルな不幸と、それに立ち向かい闘おうとする人たちの姿に涙が止まりませんでした。 そこに語られているのはまさにタイトルどおり、「命のカウンセリング」でした。 冒頭の32,845人という数字。これは一年間の自殺者の数ですが、単純に365日で割ると89人・・・。これをどう感じるのかは人それぞれだと思いますが、私には限りなく絶望的な数字だと感じました。実際、本書で語られているように一人が自殺をすると影響はかなり大きいからです。以下のように大勢の人生を狂わすからです。《「近しい人が自殺した」というショックは、両親、兄弟姉妹、 子ども、親戚、友人へと広がっていきます。少なくとも10人の人生が 狂うでしょう。》 ではあっても年間の自殺者が3万人を超えるということは毎日毎日上記のような悲劇が繰り返されているということ。だからこそ著者のようなカウンセラーが必要なのだと強く感じました。いや、そうした救いがあるということを死ぬほど苦しんでいる人が知ることこそが重要だと。 死ぬほど苦しい人に「一人で苦しまないで何でも相談して」ということと、苦しんでいる人が実際に「助け」を求めるのとの間には深く険しい谷間が横たわっています。それも本書で紹介されているカウンセリングを読めば感じることが出来ます。 だからこそ、著者の活動と本書が出版されたということはそうした谷間を少しでも超えることが出来る人。そうした人が一人でも多く出てくる契機となると思います。それは死ぬほどの絶望を経験し、それを乗り越え、他人に生かされたことを心底感謝できる著者だからこそできることなのだと思います。 いやあ素晴らしい一冊でした。こうした素晴らしい本を読む機会を作って下さりありがとうございました。是非この感動をこの記事を読んだ方にも味わって頂きたいと思います。気になったポイント:★リストカットも同じことです。今を生きている実感がないから、自分を 傷つけることで確認しているのです。★私はカウンセリングやセラピーで人を変えようとは思っていません。 その方の人生を尊重し、問題があるのなら、乗り越えることを目指して もらいます。ご自身の力で問題を乗り越えることが、本人の自信になる のです。★「助けて」は「愛している」ということ。本当に困ったとき、真剣な気持ちで 相手に助けを求めてみてください。相手は迷惑と考えるでしょうか? もし逆の立場だったらいかがですか?自分が考えている迷惑は、相手に とって迷惑とは限りません。著者紹介:長谷川 泰三ブイリターン総合心理研究所所長、心理分析士、プロカウンセラー。1966年、大阪生まれ。4歳で一家離散し、中学生で暴走族の仲間入りをする。友人の無免許運転で起きた事故が原因で脊髄を損傷し、車いすの生活に。事故の後遺症や障害を苦に何度も自殺未遂を起こすも、温かく励ましてくれる人々のやさしさや、障害者施設で出会った人たちからの「動けて話せるお前は俺たちの希望の星だ」という言葉を励みに、再起を目指すまとめると:<まさに、命のカウンセリング>※この記事はアメブロでもアップしています。