ああ、誤訳・・・(1)
ここのところ、誤訳にまつわるゆかいな(?)できごとがいくつかありました。決して人のあげ足とりでなく、自戒を込めて書いておこうと思います。今朝、はなまるマーケットの「はなまるカフェ」に、ゲストとしてオリビア・ニュートン・ジョンさんが出ていました。なにげな~く彼女の英語を聞いていたのですが、なんだかとっても聞きやすい。なんでかなぁと思ったら、オリビアさん、オーストラリア出身なんですね。実は私の英語もオーストラリア仕込みです。日本では米語がメインなので、帰国してからは米語にもだいぶ耳が慣れましたが、やはりオーストラリア英語の方が聞きやすいです(・・・話す方も訛ってるかも・・・日本人版ダニエル・カールさん??)で、商売柄、通訳さんがどんな風に訳されているかが気になって、英語と日本語、両方聞いていたのですが、さすがプロ!オリビアさんが言っていることを余すところなく、でも無駄のない言葉で簡潔に訳されていました。・・・が!オリビアさんが、オーストラリアの牧場でとった写真を紹介している時のこと。背景に写っていた木を指さしながら、"This is gum tree, and this reminds me of Australia."と言いました。で、通訳さん、どうするかな~、やっちゃうかな~・・・と不安げに訳を待っていたのですが、やっぱりおっしゃいました。「これは ゴムの木 で、この風景を見るとオーストラリアを思い出します」あ~・・・やっぱり。実はオーストラリアでgum treeというとユーカリの木のことなんです(^_^;)写真をよく見ればゴムの木でないことは明かですし、ゴムの木=オーストラリアっていうイメージは・・・ないですね。でも、一般的な訳語である gum tree = ゴムの木 という思いこみがあると、プロでもこういう誤訳をしてしまいます。ま、gum treeがゴムの木、くらいの誤訳はご愛敬(*^_^*)なんですが、これが実務翻訳の仕事となると、そうはいかなくなる場合があります。とるに足らない誤訳のために特許申請が拒否されたり、裁判沙汰になったり・・・。英単語の意味は日本語と1対1ではありません。そして、簡単な単語ほど、意味が広くて誤訳しやすいのです。時に、その単語の元の意味を英英辞典で確認して、英和辞典には載っていないような日本語に当てはめることもあります。次回は、この間実際にあった誤訳寸前のお話を。