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カテゴリ:バスガイド裏話と旅行記
今年の話ではないけど
今くらいの季節、上高地に行ったことがある。 仕事で。 仕事内容は、ガイドではない。 指示書にも「添乗員」と書いてあるし お客さんもドライバーさんも 「添乗さん」 なんて呼ぶけど 内容は、添乗員と呼ばれることを辞退したくなるほど簡単。 夜行バスで上高地へ行くお客さんについて行き、 現地でバラして、 散策後のお客さん集めて、帰ってくるだけ。 あたしの仕事の唯一の必要性は、 この時期の上高地は、 マイカーはおろか、観光バスすら規制の為、入れない。 だから、上高地から30分ほどの平湯バスターミナルで 定期バスへ乗り換えをして、上高地へ入る。 その為の団体クーポン(船車券)の管理と お客さんの乗り換えの誘導、 復路も同じで、上高地でお客を集めて 定期バスに乗り、 平湯BTで待機中の観光バスへ乗り換えて帰る。 あとは、休憩等のアナウンス、人数確認くらい。 上高地ごときの距離でツーマン(ドライバー2人)だから 車掌業務もしなくていい。 そんな感じなので、 正直、この仕事自体、舐めていた。 当日の夜、某バスセンターで集客をして出発、 車内で仮眠をとり、 朝5時半、平湯からバスを乗り換え 上高地到着。 お客さんに集合場所と時間を伝え 往路、添乗業務、無事終了。 時刻は、朝6時。 お客さんの集合、午後2時45分。 2時半にはスタンバイするとしても 8時間半待機・・・長っっっ てか、上高地、 寒っっっ お腹もすいたし レストランで朝食を取ることにした。 朝定食750円・・・・ 高い(T_T) おまけに、 レストランも寒い。 熱々だったはずの味噌汁が 食べ終わる頃には冷たい。 食事を終えても、まだ6時半。 外もまだ薄暗く、足元からシンシンと寒さが滲みてくる。 あと8時間(-_-;) 一応、添乗員の仮眠場所は用意されている。 指示書に書いてあるキャンプ場へ向かった。 あいにくの曇天ながら、梓川の流れは美しい。 キャンプ場は、上高地の名所の一つ 河童橋を少し超えたところにあった。 ていうか、 ヒートテックのキャミソールに 赤外線入りの腹巻き(笑) ウールのニットにダウンジャケットと 真冬の防寒で臨んだと言うのに 上高地、おそろしく寒い。 指示書の名前だけを頼りにキャンプ場に到着、 受付のおっさんに会社名を告げると おっさんは、鍵を渡しながら言った。 「寒いよ~~~。今、2℃!!!」 あたしの仮眠場所は、プレハブ小屋の受付の 2階の部屋だった。 オッサンが部屋まで案内してくれたけど はっきり言って めちゃめちゃ怖い(T_T) 老朽化の進んだプレハブは 歩くたびにギシギシと不快な音を立てる。 廊下は薄暗く、天井も低い。 「りんどう」と書かれた小部屋の扉をおっさんが開けると がぁっしゃあああんっっ すんんごい音(-"-) 開けられた扉の奥を見て、 最初にあたしが思った印象は、 独房。 4畳ほどの広さ、 窓はなぜかえらい高いところにある。←脱獄防止か? ボロボロのカーテン、 小さなテーブルが一つ、 押入れに古びた布団が2セット。 設備は以上。 暖房器具は、 ない(T_T) 受付のおっさんが言った 「寒いよぉ~~~」 の言葉の意味が、この時、ようやくわかった。 部屋を案内してくれたおっさんは、 「じゃ、ごゆっくり~」 そういって、ドアをがっしゃあああんと閉めて去って行った。 ・・・・・ ゆっくりなんて、できるかーーーーーーーーーーーーーーー そう思いつつ、とりあえず寒いので 布団を押入れから引っ張り出し、 敷いて横になった。 毛布はペラペラなので、2枚。 掛け布団は、鉛のように重いので1枚にしたけど ・・・寒い(T_T) ダウンを着たまま布団に入っているのに 寒いってどゆことっっ!!!! 仕方がないので、 もう一枚の掛け布団を押入れから出して 被ってみたけど 金縛りにあっているかのように重い。。。。 こんな寒いところで寝たら、 そのまま死ぬんじゃないかと思いつつ 携帯を開く。 圏 外(- -) 当然のことながら、テレビもない。 本を持ってこなかったことを心底後悔しつつ やることもないので とりあえず、目をつぶった。 なんとか、ウトウトしかけると ギーシギーシギーシギーシ ガッシャーーーーーーーーーン すんんんんごい音(-"-) どうやら、隣の部屋に人が来たらしい。 その後も、隣の住人(?)が出入りするたび、 この音が鳴る。 そうかと思えば、 ガーラガーラガーラガーラ!!! プレハブ前の空き缶処理が始まる(-"-) あげく、寒くて足がつり始めた。 てか、 こ ん な と こ ろ で 寝れるかーーーーーーーーー!! 3時間、頑張ってみたけど 無理ーーーーーーーーーーーーっっ 午前10時 あと、4時間半もこんな刑務所みたいな所にいたら 暇で死ぬ。 ていうか、凍死する。 こうなったら、全然寝てないけど 一人で上高地を散策してやる。 布団を片づけ、フロントへ行き 嫌味かってくらい元気いっぱいに 「ありがとうございましたあ!!」 って鍵を返した。 「え?もういいの?」 というオッサンには 「せっかくのなので、散策します^^」 と、満面の笑みで。 結局、明神池まで往復6キロ 写真撮ったりして往復2時間ちょっと 歩いたわよ、一人で。 景色は、さすが地上の別天地、 最高に美しかった。 曇り空だったのが、勿体なかったけど。 ぶち模様の紅葉?なんて初めて見た。 明神池は、さすが入場料300円も取るだけある。 クマ笹茂るつづら折りの小道も 鏡のような水面に映える木々も めちゃめちゃ綺麗だった。 マイカーを規制してでも、守るべき自然が ここにはある。 結果、もろもろ含めて不眠で7キロ、 2万歩強歩いた。 歩かなければ、出会わなかった景色達。 ただ、肉体的な疲れよりも辛かったのは 孤独(T_T) 綺麗な景色を見ても、 「きれいだね~~~」 と言いあえる人が隣に欲しい。 道中、見知らぬおじいさんおばあさんに 話しかけまくった。 写真も頼みまくった。 どんだけ寂しがり屋なんだ、あたし(^_^;) 山歩きが本当に好きな人は、 「一人の方が気楽」なんて言うけど あたしには、到底理解できない。 孤独と寒さ。 この仕事で、自分の苦手なものがよぉくわかった。 内容的には楽なはずの仕事だったけど、 今まで行ったどんな仕事よりもしんどかった。 っていうか、 仕事に楽なものなんてないですね。 舐めててごめんなさい(T_T) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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