相変らず癒しの音色です。
私が彼女のソロ・リサイタルに毎回来る一番の理由は、内に秘めた希望と情熱を感じること、そして重い楽曲に深刻さや悲壮感がないこと。
彼女の奏でる音は、私に希望を与え、心を癒してくれます。
若者のような情熱と心地よい甘さを感じるベートーヴェンの月光に、まず引き込まれました。
そして、アンコールで、前回リサイタルで大衝撃を受けたテンペストの第3楽章が!
私は今回これに最も感銘受けました。
なんと表現したらいいのか、押し付けがましくない演奏が、適度な緊張と適度なリラックスをバランスよく感じさせてくれて、聞かずにはいられないという奏でなのです。
もちろん、ショパンやリストはずっと前からそんな印象で、今回も引き込まれました。
独特のテンポや間が、技術に走りがちな楽曲に温かみを与えてくれます。
やっぱラストのリストのパガニーニ大練習曲2曲がすばらしかったです。
私個人的には、どうしても構えて聞いてしまうベートーヴェンを、リラックスしながら聞けることに、いろいろ感じることがありました。
やっぱ生の音には何かしらの発見があるのですね。
ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」より第3曲「月の光」
ドビュッシー 組曲「版画」より第3曲「雨の庭」
ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調作品27‐2「月光」
ショパン 3つの夜想曲 作品9 第2番 変ホ長調
ショパン ワルツ第1番 変ホ長調「華麗なる大円舞曲」作品18
ショパン 12の練習曲 作品10 第3番 ホ長調「別れの曲」
ショパン 12の練習曲 作品10 第5番 変ト長調「黒鍵」
ショパン 12の練習曲 作品10 第12番 ハ短調「革命」
‐休憩‐
J.S.バッハ カンタータBMV147より「主よ、人の望みの喜びよ」
J.S.バッハ ゴルドベルグ変奏曲BMV988より「アリア」
リスト 「三つの演奏会用練習曲」作品144より 第3番「ため息」
リスト 春の宵(R.シューマンによる)
リスト パガニーニ大練習曲 第6番「主題と変奏」
リスト パガニーニ大練習曲 第3番「ラ・カンパネラ」
‐アンコール‐
ショパン ノクターン第1番 変ロ短調
ベートーヴェン テンペストより第3楽章
平成20年5月9日 東京芸術劇場大ホールにて