お出掛け、お出掛け(人間になりたかった犬の物語)
家族みんなで着替えを始めている。買い物だけなら、お父さんが動くことは無い。「これはお出掛けだな」私は案外察しがよいのだ。お父さんほどじゃないけれど、・・・。準備運動しなくちゃならない。前足をそろえて背伸びの運動だ。準備を始めてからが長い。お姉ちゃんの車で行くらしい。おろす物と詰め込むものがあるのだ。まして、私行くとなると専用毛布他を乗せなくちゃならないためだ。「それで、どこへ行くのよ」「あちらこちらの道の駅だ」「お母さんの会社で、おやきを生産するかもしれない。プレ・リサーチをする」(父さんの得意な分野である。)まずは中条の道の駅だ。お父さんが「おやきを」と言い出したけれど、パスするらしい。もう何回も買っているためだ。お父さんと一緒に外で待っていると柴犬の好きな人に「かわいいね」と声をかけられた。お姉ちゃんの知り合いだったらしい。昨年、保育園の年長さんで今年一年生になった子供のお母さんだった。「どうりでピカピカだ」後に一年生がつくけれど、・・・。次に、お父さんのふるさとの小川村の地場産業と味菜のおやきを買った。このむらにもう一軒の家があるということだ。私はどこへ行っても人気者である。以前、柴犬を飼っていた人に声をかけられた。「何歳になるのか」と「もうじき、16歳になります」と答えている。「歳の割にはしっかりしている」とほめられちゃった。柴犬がホメラニアンになっちゃった。かって来たおやきを食べている。「マメのやつは無いよ」それから、白馬に出た。まだ、山には雪が残っている。ここでも、おやきを買った。お父さんの構想したものに近いものの味見である。そして、感想を言い合っている。「これなら、この前、家で試作したほうが良い」