TEA TIME

金八先生の最終回＆卒業式があった。

実は今回のシリーズは全然見ていなかった。
が、何気なくテレビをつけたら、いきなり詰襟姿の少年が覚せい剤を打つシーン。
あまりの衝撃に、最後まで取り付かれたように見てしまった。

金八先生シリーズが始まったころ、ちょうど私も中学生。
パート２の校内暴力編のとき中３だった。
同学年生（？）には
川上麻衣子、伊藤つかさ、ひかる一平、沖田浩之と言った面々。
そして一番の問題児でありながら１０数年たった後、
金八先生に「一番自慢できる生徒」と言わしめた「加藤優」役の直江喜一。

このときも警察沙汰になっていたが、無事に全員そろっての卒業式となった。


だから、今回も覚せい剤を克服して、裁判官の計らいにより保護観察となり、
卒業式に駆けつける・・・と言うパターンだろうな、と思い込んでいた。


ところが・・・
少年は少年院に送致された。


そう、覚せい剤ってそう簡単には克服できない。

先日テレビで見た「夜回り先生」こと水谷修氏の講演会で
「愛情だけで克服させようとして、生徒を死に追いやった」というエピソードが語られていた。

ドラッグに苦しみ、やめようと思っても何度も手を出してしまう少年。
先生の家に泊まりこみ、もう絶対にやらない、と断言してもすぐにまた逆戻り。

そんな生徒が、ある新聞記事を見つけ、先生に目を輝かせながらこういった。
「先生、ドラッグの更生施設ってのが全国に３つあるんだって。
徹底的に、ドラッグを体から追い出してくれるんだって。
水谷先生じゃ、多分だめなんだよ。ねえ先生、この施設と連絡を取ってよ。
僕がこの施設にいけるように手配してよ」と。

「先生じゃだめなんだよ」と言われ、先生はカチンと来た。
こんなに頑張ってるのに、こんなに愛情を注いでいるのに、俺じゃだめだって？？？？
じゃあ、好きにしろ・・・・。

その日「そばにいたい」と言う生徒に
「今日は巡回パトロールがあるから」とうそをついて追い返した。
「水谷先生、今日は冷たいぞ！！」という悲しげな叫び・・・それが彼の最期の言葉となった。

お母さんと一緒に火葬場に行き、お骨を拾おうとしたときに
お母さんは半狂乱になった。

骨がなかった・・・・・・。

日本の火葬場では、お骨が残るように配慮しての火葬がされる。
にもかかわらず、のこっていたのはさらさらの灰だけ。
覚せい剤は少年の骨までも奪ってしまっていた。

何とか探して見つけた１本の細い骨、恐らく骨盤か大腿骨だろう、それを箸で拾うと
そのままさらさらと粉状に崩れさった・・・・・。

火葬場の人に「なにしてるんですか！！」と言われてハッと正気に戻ったときには
お母さんと先生は、泣きながら熱い遺灰を手ですくって、骨壷いっぱいに入れていたそうだ。

覚せい剤をはじめ、ドラッグってものは、
やめようと思ってもそう簡単にはやめられない。
愛情で克服できる代物ではないのだ。

どんなに愛する人が一生懸命になっても、
水谷先生や金八先生のような人が、どんなに体を張ろうと、説得しようと
素人ではもう、どうにも出来ない。


絶対にドラッグには手を出さないで。

立ち直る事は、難しいなんてものじゃありません。


この最終回で、脚本家の考えの深さに脱帽した。