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●あらすじ●
殺人は起こりますが決して推理小説ではなく、よくあるジャンルで強いて分類するならホラーでしょうか。 ですが殺人者の一応の所の顔は読者に対して明らかにされるので、本自体に書いてあった粗筋の『幻想小説』というのがまさにぴったりでしょう。 『一応の所の』と言いますのは、殺しの首謀者『トレチア』は1人ではありません。 実際に行動を起こしている『トレチア』を読者は見るわけですが、子供たちの記憶の中で1人歩きしてできた『トレチア』もまた畏敬すべき対象である『トレチア』そのものです。 そこに純然たる区別は存在せず、したがって『トレチア』はかつてそれを畏敬していた者たちの心の中を含めて多数存在します。 『トレチア』は誰か、あるいは何なのか? これを突き止めることができた登場人物もまた存在しませんが、読者はこのことに否応なしに惹きつけられます。
ただ物語全体としては非常に暗い話。 テンポもあまりよくない。 緊張感は存在しても、それがぶった切りにあって『!』とかいう場面は期待できない。 これらは読者を赤黒くモヤモヤした状態に置くのを意図している以上仕方ないのかもしれませんが、それだけじゃいまいち楽しめませんでしたね。 終わり方も盛り上がっていた『トレチア』との因果関係はよく見えず、なんだかなぁ~~と思ってしまいます。 読むものがない時には読んでみては?という程度です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/07/01 10:33:40 PM
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