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TEMPORARY ILLUSION

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「物語の大切さに気… New! 森の声さん

こーいっちの休憩所… こーいっちさん
2006/12/12
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カテゴリ:書籍

●あらすじっぽいもの●
かつて戦犯となった過去を持つ産婦人科医。
公私で全く顔の違う大学教授。
自らの正義を疑うことなく人を裁く若手新聞記者。
無気力なグウタラ学生たち。
そして人を疑う事を知らない外国人。
新宿の界隈で絡み合う彼らの、ある者には滑稽な、ある者には本当の『悲しみの歌』・・・・・・。

(*本の裏見まくりです*)

 


前読んだ遠藤周作の本はかなりお気楽なタッチでして、それが頭に残ってたせいか、社会風刺満載な最初の方は電車の中で口元だけで笑っていましたが、いやはや本筋はそんなどうでもいい所ではなくもっと別の所にありました。

話の中で1番スポットライトを浴びます医者は、妊娠中絶の業に悩んでいます。

元はといえば人を救う為になったはずの職業、それが今やただの人殺しに変貌した自分が奪ってきた命に対する罪の意識、彼の精神的疲労は周りには愛想の悪い中年としか映りません。

そしてそれと対極に居る外国人。

ただ人を愛する事しか知らないがために、苦しんでいる人を見かけると彼は本当に1人1人を助けようと努力します。

他のキャラは社会で言えば普通な生き方をしている方なのでしょうが、皆どこかにひた隠しにしているようなものを持っています。

罪に押しつぶされそうになる人とそれを救おうとする人、そして自分の罪からは全く目を背けてしまっている大勢の人々、この3つに分けられた登場人物たちは妙に生々しく、読者である自分がどれに位置するのかを炙り出されそうで、途中から読むのが少し恐くなりました。

それでも先を読まねばと思ったのは、自分の中にある罪を少しでも直視しようという心の動きだったのではないかと。

断じて明るい本ではありませんが、私と何か似通ったものを感じてもらえたらなぁと思います。






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Last updated  2006/12/14 10:08:40 PM
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