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カテゴリ:今日読んだ本
家守綺譚 梨木香歩著 nanaco☆さんのブログで紹介されていた家守綺譚を読みました。
大学を卒業してそのまま文筆家としての道を歩み始めた綿貫征四郎は、亡き親友高堂の父親から家の守を頼まれる。言われるままこの家に移り住む綿貫だったが、ある嵐の夜床の間の掛け軸からボートを漕ぐ音がする。掛け軸の水辺から高堂が会いに来たのだった。
不思議な物語である。 怪異だけれど、どこと無くユーモラスでいとおしい。
しかし、そんな飄々とした中にも時折無性に切なさがこみ上げることがある。 「あちら」と「こちら」。 水底の世界で、力強い言葉でこちらを選び取った綿貫に、高堂は何を思っただろうか。 だが、綿貫もいつかはあちらへ行くことだろう。
さてこの物語は、 各章のタイトルにゆかしい草花の名が冠されている。 また、明確に語られてはいないが、舞台となる山科の疎水や深い山々。峠の上から見る琵琶湖、瀬田川。遠くは鯖街道、朽木村、余呉に鈴鹿の峰々。。。実在の場所なのに、何だかまるで夢の世界にでもいるような。。。 琵琶湖のほとりに住む者にとってはなお一層、懐かしくも切ない郷愁に包まれる贅沢なひとときであった。
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