テーマ:☆小説をかきましょう☆(102)
カテゴリ:恋愛都市
午後の横浜ベイは、ブルーベルベットの反射で、高台の公園から、ふたり眺めて、夜のくるのを待っている、東の空に下弦の月が戸惑うように。 「どこかで、かくれようか」 白いコートの女は、微かな5番の誘惑で。 「すこし、寒いね」 「話をそらさないで」 男は女の顔を見て、真意を探る。 「海をみたいといったのは、あなたよ」 「今夜、この夜景をみるのか」 しらふな恋の行方は、契りを求めている。 「男と女は、そういうものなのよ」 女は海を見ている。なにを忘れ、なにを思い出すのか。 「ありきたりな恋にしたくない」 「そう、度胸ないのね、溺れるのがこわいんでしょ」 「二階にあげて、階段はずすのか」 痩せた猫が、公園をゆっくりと横切る。 「男と女は、そういうものなのか」 「あなたは、子供なのよ」 「それは、ほめ言葉なのかな」 「わたしが、ほしくないの」 おだやかな西日の逆行線の中で、男が追い詰められていく。 「なんで、だまっているの」 「きみが、ほしい」 「じゃ、あなたのものにして」 「きみは、ものじゃない」 「子供ね、そういうとこ、嫌いじゃないわ」 男は、両手の汗ばみを感じていた、その冬のグレイブルーの景色の中で。 やがて、そのときは来て、ふたりもとの生活のドアをあける。 その風景は、どんな景色にみえるというのか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 30, 2007 04:28:33 PM
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