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恋のような 愛のような

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山崎貴之

山崎貴之

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Feb 3, 2007
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カテゴリ:RIE
 彼女はそういった。恋に疲れたからごめんなさい、あなたのこと好きだけど愛せない。さようなら。

短いメールに返信するとエラーが起こった。彼女は成田空港で最後のメールを打って、携帯をDUSTBOXに捨てた。

 数ヵ月後彼のWEBにLAのIPのLOGがあることに気がついた。
理恵がHPを見ている、彼女はここを探し出した。東京の夥しい恋のなかから私を探し出したように、LAのPCのまえで、理恵がこれを見ている、たぶんどこにいても彼女は私を探し出すのだろう、そういった印象が、私を包んだ、もやのようなその皮膜は私をゆっくりとその場所に連れて行った。

 理恵、僕は君のことを愛していた。ときどき君は東京から急に居なくなるね。僕は君以外の女の人を愛したいと思ったけど、それは、君の代わりでしかなく、そのことを他の女の人たちも気がついていたんだね。みんなきみのために僕のことをたいせつにほうりっぱなしにしてくれたよ。


「愛してる」
彼女はそういって、泣いた。
ブルガリの時計の細すぎる腕に涙が落ちる。
こんなこといままでなかった。彼女が男を愛している。

「わたしたち、つきあいながいよね」

「あったとき。わたし、18歳だもんね」

「わたしたち、25歳ちがうんだもんね、わたしそんな上のひととつきあったことない」

「つきあってるのかよ」

「わたしのわがまま、聞いてくれるから、大好き。それにわたしを欲しがらないから、かっこいいよ」

彼女の記憶の断片、いつも笑顔の印象、彼女を愛した男は彼女を欲しがる。

 彼女は彼のアルマーニの木綿のシャツの洗いざらしなのに、パジャマのようだといった。

「パジャマのまま来たの?」


 彼はそれを着て、眠っている。

 彼女は彼のために慎重にコーヒーを入れた。ベランダの朝食の用意をした。

 彼の女になった。女に生まれてよかったと感じた。

 彼はたくさんの女を知っている。彼はとぎれとぎれに昨夜の彼のBEDで彼女に言った。

 それは彼女への帰依だった。

 彼の人生のなかで、帰依し奉る存在としての女、それになれた。

 彼女は誇らしかった。

 女になること、それはうまれたことの意味をしること。


 恋愛とはそもそもそんなかんじではなかったか?


 彼女は彼が作家になると、ごく自然に考えていた。そもそも本も読まないが彼の雰囲気はどんどん作家になっていった。職業は風采にじみ出るものだ。彼は何冊かのBESTセラーを出版して、彼女の生活は印税で支えられる。ごく同然のように彼女は信じて疑わなかった。

 彼の作品は彼女のそんな無垢な愛を描いたものだった。彼女が彼のことを信じなかったら、彼は作家にはなれない。ひとりの女に受け入れられた男は、百万人の女に受け入れられた。

 百万人の彼の彼女は彼に会いたくて小説を読んだ。その時間彼を独占できた。

しかし彼は、彼女のために長く生きようとし、夢を実現することが、必ずしも幸せになる方法でないことを書いた。

彼女と生きていることが、彼にすべてを悟らせた。その愛は限りなく注がれて、彼は生きていることの幸せさを感じた。

 彼女はそんな彼が好きだった、ただそばにいて彼の笑顔を見ているだけでよかった。

 彼は彼女のbabyだった。

「いみわかんないよ」

 彼女は原稿を眺めてそういった。

 激しくPAGEをめくりながら自分がMODELになっている部分を探している。

「これほんとにフィクション?」
「そう」
「へえ」

 彼女は松涛のお屋敷にひとりでお手伝いさんと暮らしている。

 彼女はある日本人にあう。彼の愛し方は彼女の経験したことのないものだ。彼女はたくさんの未来を彼に重ねてみた。

電話も嫌いだが、彼の電話は出た。しかし、あまり彼も電話をくれない。

彼は電話が嫌いなのかもしれない。

 
「形而上学的に愛してるわ」

彼女の言葉はそんなふうで魅惑に満ちてる。

「大脳生理学的に僕も愛してるよ」
「わけわかんないよ」

「ね、焼肉たべにいこ」
「うん」

 彼女はUS暮らしが長く、実は日本人の感性はない。NYでうまれて、全米のホテルを経営する父のおかげでROCKSTARのように各地を転々とした。

 彼女が異常に肉食なのはUSの名残だし、彼と食べればテンダーロインの味がする、焼肉でさえ。

 彼が30分ごとに愛していると言わないと、機嫌が悪くなった。放っておくと、いなくなって青山のカフェで冷たいココアを飲んでいたりする。

 彼女の自転車は、FIATTの赤いやつで、骨董通りを流すとすぐに見つかった。その赤さは彼のお気に入りでもあった。長い足で漕ぐ彼女の後ろで、彼は本物の赤いFIATTを運転して、彼女の散歩に付き合う、二人に会話はほとんどないが、彼女は5m先からメールを打ち込んでくる。

「おなかすいた、焼肉いこ」

 まだ育ち盛りなのかもしれない、出会ったとき18歳だった彼女もとうとう二十歳になる。僕とお父様が似ているかときいたことがあった。彼女は斜め上の壁をながめで小さな声で、

「あんましないと思われ」

と言った。






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Last updated  Feb 3, 2007 07:27:54 PM
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losartan cozaar@ Hi:) Test, just a test q1 I need to say, as very much as I enjoy…
山崎貴之@ Re[1]:22万アクセス(05/26) 姫。さん >おめでとうございます。 > …
姫。@ Re:22万アクセス(05/26) おめでとうございます。 もっとたくさ…
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