これは計画があったけど実現しなかった千葉県を通る鉄道について書かれた本です。明治時代から昭和初期にかけて，民間による鉄道計画がいっぱい出ていました。明治の計画では時の内閣総理大臣・伊藤博文の名前の公文書に出てきます。
その頃実現しなかった計画で，現在それにほぼ近い形で実現された鉄道もあります。
つくばエクスプレスもその一つです。実現しなかった計画での鉄道名は「筑波高速度電気鉄道」といいます。直流で電化する計画なのですが，茨城県には
柿岡地磁気観測所があるために，単純に直流で電化すいると地磁気観測に支障を来すことやその他様々な理由で行政から許可がおりませんでした。現在でも茨城県内で直流で電化されている鉄道は
JR常磐線の
取手駅—
利根川間とつくばエクスプレスの
守谷駅—利根川間，
JR宇都宮線(東北本線)の
古河駅付近だけです。
以前，
関東鉄道常総線が線路に直流電流を流す試験を行ったのですが，その試験では地磁気観測への影響はなかったそうです。ただ，直流電流を流す区間を細分化しなければならず，そのために直流電化を実現化するには
変電所などの設備投資が結構かかるらしく，今も非電化のままです。
それから，
野田市を通る鉄道計画がよく出てきます。野田市には
キッコーマンの工場があるので，キッコーマン向けの物資輸送で鉄道経営しようとする人たちが多かったようです。明治から昭和初期はまだ道路整備が未熟だったから，トラックでの輸送が困難だったのでしょう。それで鉄道建設計画が流行ったんでしょうね。現在だった鉄道じゃなくて高速道路になるのかな。まあ
常磐自動車道がちゃんとできてますが。インターチェンジは野田市ではなくて
柏市(
柏I.C.)ですが，国道16号で柏I.C.に行けるから特に不便ではないのでしょう。
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