この本には都市に生息する野生動物(都市動物)の代表格の哺乳類・鼠(ネズミ)と鳥類・烏(カラス)が取り上げられています。
都市に生息する烏は,東京都心部ではほんとどが
ハシブトガラスだそうです。仙台市内で自動車に固い胡桃を割らせる有名な烏は
ハシボソガスです。この本が出版されたのは今から10年前ですが,既に都市部では「カラス公害」が問題になっていた時でした。この頃はカラスを専門に研究している大学生・大学院生はいなかったそうです。カラスは頭が良いのでその生態や行動が複雑らしく,大学生や大学院生のように2~3年で論文を仕上げなければならい立場に置かれている人たちには大学の教官も学生に研究テーマとしてカラスを勧めづらい状況だったそうです。10年だった今は自治体も本格的にカラス対策に乗り出しているし,
宇都宮大学の
杉田昭栄教授のもとにはカラス対策の相談がよく来るそうですから,今は状況が変って,学生の研究テーマになっているかもしれませんね。
一方都市に生息する鼠はイエネズミと呼ばれる3種で,
ドブネズミ(ラット),
クマネズミ,
ハツカネズミ(マウス),だそうです。ドブネズミは人から見て嫌われ者ですが,ドブネズミを家畜(?)化した
ラットは実験動物として人に役に立っています。ペットにもなるそうです。ハツカネズミは品種改良して,野生種とは異りカラフルな毛色のカラー
マウスとしてペットになっています。
アルビノは実験動物としても人の役に立っているそうです。どういうわけかクマネズミは実験動物にもペットにもなっていませんが,ラット(ドブネズミ)とマウス(ハツカネズミ)で事足りているから,きっと敢(あえ)てクマネズミを品種改良する必要がないのでしょう。
弥生時代や奈良時代の建物には高床式のものがありますが,地面から伸びている柱とその上に乗る建屋の間に
鼠返しが設置されていますが,この本の148ページには鼠返しの効果について書かれていて,それによるとクマネズミに対しては完璧な防御手段とはならないそうです。クマネズミは垂直の壁面も登ることができるので,鼠返しの多少の
オーバーハングならクリアーしてしまうんでしょうね。
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