中国料理店のテーブルは、基本的に円卓。
聖剣エクスカリバーとアーサー王、円卓の騎士みたい。
あっ、話を逸らしちゃダメダメ。
円卓でも中心席がある。
どこが中心席か判りやすいように、テーブルナプキンが立ててある。
円卓の中心席に座るのは、主催者。
間違ってはダメよ。 主賓が座るんじゃないのよ。
最低限、この事だけは、ちゃんと知っておかなければならないの。
円卓の中心席に、偉そうに座っている日本人バイヤー風男がいた。
日本では、接待の時に上座に席を設けられる。
だから、1番いい席は自分の席だと思いこんでいるのね。
あらあら、そこのお馬鹿さん、そこは主催者席よ。
あなたの席じゃないのよ。
あなた達は企業を代表して来ているんでしょう ?!
まずはこの国の「 徳 と 恥 」を知りなさい。
冷たいビールは無いのか・・・、そんな事ぐらいでわめかないでよ !
こっちまで聞こえるわよ。うるさいわねぇ・・・。
イギリスでもドイツでも、ぬるいビールを飲む人いるわよ。
黙って、ぬるいチンタオ・ビール、飲んでなさい。
どこに行っても自分の好きな物を飲み食いしたいなら、
自分で持ってきなさいよ ! 冷蔵庫をかついできなさいよ !!
ばぁ~か !!
わたしだって、
ぬる~い雪碧 (スプライトの事) を我慢して飲んでるんだから・・・。
あっ、お馬鹿さんね。
せっかく正しく置かれた魚の皿を横にしちゃダメよ !
その方が、箸で取り易いのは判るけど、
頭は時計の12時、尻尾は 6時の方向にする意味があるのよ。
何の為に円卓が廻せるのか、少しは勉強しなさいよ。
魚の骨が多くて食べにくいなんて、でかい声で言ったらダメ。
骨が多い魚こそ、美味しい魚。
主催者は、そのセオリーに沿って、
あなたの為に美味しい魚を選んでくれたんだから・・・。
なによ、その携帯の着信音 ?
どうやら馴染みのクラブの小姐からの電話みたいね・・・。
そうねぇ、その席では話しにくいでしょうねぇ・・・。
でも、円卓の中心席にずけずけ座った以上、
その席を空けちゃ失礼よ。
主催者席にずけずけ座った主賓なら、中座したくても我慢しなさい。
箸が止まってるわね。せっかくの料理なんだから、
もう少し、箸をのばしなさいよ。
煙草ふかして、ボーっとして、エロ顔さらしてるわよ。
頭の中は、クラブの小姐の事みたいねぇ・・・。
こっちのテーブルから見ても判るわ。
あなた、ばかね。
そんなんじゃ、主催者にバレバレじゃないの・・・。
そんなんじゃ、次から、まともな相手はしてくれないわよ・・・。
でも、あなたのお目当ては小姐みたいだから・・・、
それでいいのね。
あなたの会社は、
「 徳を持たない恥ずかしい人」を送り出したのね・・・。