医療報道を斬る

　マスメディアであるならば、科学的事実より自分の主張を優先するような人を専門家扱いしてはいけませんね。低線量被曝で鼻血など出ないことはちゃんと根拠があります。

　一般の人が思っているより鼻粘膜に低線量被曝している人は多いのですが、そういう人たちに特別に鼻血が多いと言うことはありません。福島県に住むくらいで鼻血が出るのであれば、透視下で手術をする整形外科医は軒並み鼻血を出すでしょう。もちろんそうした事実はありません。

　西尾正道氏は低線量被曝でも鼻血が出ると言っていますが、もちろん根拠を示すことは出来ません。そんな事実は無いからです。化学的刺激のある微粒子が鼻粘膜に付けば鼻血の出ることもあるでしょうが、それは放射線のせいではありません。

　低線量被曝で鼻血が出ることは否定できますが、福島県で鼻血が多いということを否定しているわけではありません。鼻血はいろいろな原因で出ますから、今の福島県のように気苦労が多ければストレスで鼻血も増えるかもしれません。また、美味しんぼを読んで怒りのあまり血圧が上がって鼻血を出す人もいるかもしれません。

　実際には福島県でも健康調査は行われていますから、鼻血を出す人がそれなりに多いのであれば引っかかるはずです。おそらくそうした事態は起きていないのでしょう。

美味しんぼ「鼻血、医学的根拠ある」　専門家ら反論会見2014年5月24日00時14分　朝日新聞

　人気漫画「美味しんぼ」で東京電力福島第一原発事故後の鼻血の頻発などが描かれたことをめぐり、専門家や健康被害を訴える当事者が２３日、国会内で記者会見を開いた。政府や福島県が「風評被害を助長する」などとして事故と鼻血の関連を否定していることに対し、「因果関係は否定できない」と反論した。

　住民の自主的な甲状腺検査に協力してきた北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「高線量被曝（ひばく）による急性障害に論理をすり替え、鼻血（との因果関係）を否定する『専門家』がいる」と批判。「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔（びくう）内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」と指摘した。

　記者会見に電話で参加した福島県内の母親は「漫画全体を読み、福島への愛情を感じた。子どもに鼻血が出ても、話を聞く前から因果関係を否定するような人たちに私たちは本当のことは言わない。国の責任で鼻血を含めた健康調査をしてほしい」と訴えた。

　崎山比早子・元国会事故調査委員会委員（がん生物学）は「汚染地域は広範にあり、健康障害への懸念は鼻血どころでない。正確な情報を」と説いた。主催の市民団体代表は「鼻血の表現ばかりに焦点を当てて攻撃し、健康障害を訴える声を抑えつけている」と非難した。