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カテゴリ:パリの思い出
パリ16区と聞いて、フランス通なら、ああ、例の高級住宅街、と思うかもしれないけれど私には旅行の趣味もなく、フランスにもヨーロッパにも特段の興味は持っていなかったので、そこがどういうところなのか見当もつきませんでした。似たような方のために、パリの簡単な区割りの地図へのリンクを貼っておきます。
パリの地図 受け入れ先にお願いして決めた当座二週間の宿は、現地での職場の秘書職の人の自宅の朝食付きの間借りで、スーツケースや大量の手荷物とともに、空港から乗ってきたタクシーを降り、目当ての番地のアパートの入り口に立ち、大家さんの部屋のブザーを押しました。 現地の標準的なアパート入り口は、オートロックと呼ぶのは申し訳ないような、かなり年季の入ったデジコードと呼ばれる暗証番号でロックが解除される機械が標準装備されていますし、アパートのエレベータは、昔の映画にでてくるようなレトロな鳥かご型の小さなもので、通された大家のマダムのアパートの客間は、それこそ昔のヨーロッパの映画で見るような家具調度で、いきなり場違いなところに来てしまった、という違和感にそれから数ヶ月つきまとわれました。 マダムは、小柄でかなり恰幅のよい、アクセントはあるものの英語に不自由のない年配のブロンド女性でした。パリである程度以上の生活をしている女性たちに太った人を見かけることはほとんどありませんが、彼女は数年前の離婚のストレスで太ってしまい、今は医者にメニューをもらってダイエットしているそうで、実際玄関に飾ってあったいくつか家族の写真の中で、今とは全く違うすらりとしたプロポーションで写っていました。 男女一人ずつの子供ももう独立し、離婚でこれまでのアパートに一人暮らしになり、気分転換で全面改装をして、ときどき人の紹介で身元のはっきりした人限定で、短期の間貸しをしているのだそうです。 間借りは朝食付きの契約なので、朝起きるとマダムと台所でパンとカフェオレの食事をとります。英語でのいわゆるスモールトークは苦手だったので、最初は気詰まりでしたが、マダムがおしゃべり好きで助かりました。似たような友達も多いようで、連日、電話が鳴りっぱなしというにぎやかな家でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.12.11 15:09:33
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