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カテゴリ:パリの思い出
赴任にあたっては、私の職場では先例もしがらみもなかったので、太っ腹なことに、上司からは「行き先は好きなところを選んでいいよ」と言われ、実は自分で選びました。
選択肢は、ニューヨークとワシントン、パリにジュネーブといったところで、別に特別にパリが好きだったからではなく、この中から純粋に一番仕事が楽しそうなところに安易に決めただけで、フランスにはそれまで行ったこともないしフランス語に至っては挨拶さえできないという体たらくでした。 事前に面接で会った、パリで上司になるはずのイギリス人からも、「仏語ができなくとも全然大丈夫」という太鼓判をいただいていたので、出発前の準備はかんたんなテキストを一・二冊購入しただけです。 件のイギリス人上司の行ったことが大嘘だ、ということがわかるまでには、たいした時間は必要なく、当人には、非常に生活に不自由している、と恨みがましく苦情を言ったのですが、答えは、「大丈夫大丈夫、君は独身だろう?フランス人のパートナーが出来れば、フランス語なんてあっと言う間にうまくなるさ。」で、この野郎!、だましやがったと気づいたときは、後の祭でした。その部局、日本からのデータ収集に難儀しており、ぜひ現地とのパイプ役になれる日本人をゲットしたかった、という裏事情があったのです。 担がれたと嘆いても仕方がないので、生活が落ち着くとすぐに語学語学校に申し込みましたが、「日本でやるよりも、現地の方が安くていいフランス語の先生がたくさんいるさ」と思って日本で何も勉強していなかった自分が大甘だったという事実にも気づくことになりました。 日本では、たとえば初心者が外国語を習うときは、その外国語と日本語を使って教えてくれますよね。それが、現地で現地語を習う場合は、現地語だけで教えてもらうことになるので、肝心の現地語が全くできない人間に教える場合は、幼児に対するように、ひたすらフレーズを繰りかえさせて暗記させることになります。 なぜそうなるのか、ここをこう変えるとどうなるのか、と言った文法や応用の話を併せてやってもらえれば、一つのパターンをいくつも使いまわしができるのですが、こちらにはまだ現地語でそんなことをたずねる能力はないし、逆に説明されても理解できません。 ある意味、非常にナチュラルな覚え方ではあるのですが、私は時間をたっぷりかけられる三歳児ではないし、日中英語で慣れない仕事をこなした後に学校に来て、ひたすらフレーズを繰り返して暗記、というのはかなり参りました。 結局、日常生活に最低限不自由のないところまで行った後は、本業が忙しくなったこともあって語学学校から足は遠のき、結果として全く文法は体系的に教わっておらず、活字もろくに読めないまま終わりました。観光するのに不自由はしないし、電話でレストランやホテルの予約とかは出来ますが、確認のためにFAXをと言われても、自分のしゃべっている内容を書くことができません。 事前に日本でみっちり文法を叩き込んでから渡仏すれば、今頃仏語に不自由がないところまでいけただろうと思います。非常にもったいないことをしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.01.23 12:05:24
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