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カテゴリ:パリの思い出
日本では、ヤフオクなどが一般的になったのはごく最近のことで、それまで、一般消費者が自分が使っていたものを、同じ一般消費者相手に売るというのは、あまり普通でなかったように思います。
例外が国外で、特に赴任者で形成される海外の日本人コミュニティでは、2~3年単位で帰国する人たちが多いので、国外では使えない家電製品を中心とする帰国セール情報が頻繁に回ってきます。これは新品よりかなり安いので、新規赴任者や留学生などにとってもありがたいことなのです。 たいていの場合、不文律とまではいかなくても暗黙の了解のようなものがあって、動作不良などのおかしなもは身内のセールで決して出品しないし、逆に特に帰国セールの場合はよっぽどの問題がない限り買った側は難癖をつけないのが常識ですが、時々妙な話を聞くことがあります。 帰国セールで車を売った同僚がいました。 同じ職場の日本人が応募し、確定した後でキャンセルして支払い済み代金の全額返済を要求するという暴挙に出て、ひとしきり職場内の日本人コミュニティで話題になりました。帰国日程が迫る中、売り手が非常に厳しい状況にさらされた、ということは容易に想像できます。 赴任者が多く、皆明日は我が身なので、その手の話はあっという間に仲間内に広がり信用をなくすのに、その後も問題の買い手だった日本人は、あちこちでトラブルを起こし続け、皆彼を相手にものの売買をしなくなりました。 噂は半分で聞いていたのですが、引越しを予定してセールのお知らせを打った友人は、家具の予約を受けたのに、引き取り日の引越し当日にこの人からキャンセルを食らった、と直接聞くに及び、どうやらほんとうにこの人自身に問題があったようです。 もうひとり、やはり職場内の日本人向け帰国セールで、失笑を買った人がいました。 笑われた理由は、彼が旅行ガイドブックに至る細々したものまで、値段をつけて売ろうとしていたことでした。 その辺のフリマでは、履き古したジーンズや古い版の旅行ガイドブックまで普通に売るかもしれませんが、比較的給与水準の高かったその職場でのローカルルールというか慣習では、旅行ガイドブックやその他の安価なものは、後任者や友人に譲り渡すのが一般的で、前任者や友人の帰国者からその恩恵に与ってきたはずなのに、自分の番になったらそんなものまで売りたいのか、と、彼の行動はかなりの悪評を買いました。 彼から強引に、売残りのカプラー(笑)やガイドブックを買わされた私はいい面の皮ですが、ともあれ、「品性」を学ぶ授業料としては高くなかった、と思うことにしています。 また、個人的に一番痛い思いをしたのが、顔見知りの日本人が、使ってないからという理由で無料で譲ってくれた14型TVです。 当人がパリ赴任が決まった直後に秋葉原に行き、現地で使えるものを、と言って買い、引越し荷物に混ぜたけれど、荷物到着を待ちきれずに現地でTVを買ったから一度も使ってないの、という説明をいただきました。 自宅に持って帰ってTVのアンテナ線につないでも写らず、説明書は英・中表記です。 全ての試行錯誤が失敗に終わった後、辛抱強く英語の説明を読んだところ、なんとそのTVは、ヨーロッパのほとんどの都市でそのまま使えるワールドタイプだけれど、テレビ入力としてフランスのシステムは受け付けない、ということが判明。 ビデオ入力信号としてはフランスのシステムも対応するものなので、結局解決策としてTVに接続できるワールドタイプのビデオを購入して接続したのですが、接続も最終的には業者サポートを依頼して特殊なケーブルを購入する羽目になり、仕事が忙しかったこともありますが問題のTVをもらってからフランスのテレビを視聴できるまで実に半年もの月日を費やし、「無料ほど高いものはない」という格言の意味を噛み締めるとともに、自分の帰国セールの際にはかなり慎重になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.06.29 23:09:12
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