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カテゴリ:恋愛小説
どうしてこんな事になっちゃったんだろう…。
未だ、彼のぬくもりを感じる唇に手をあて、心の中で呟いた。 彼はもう、先に帰ってしまった。 あれから特に、何も言わずに。 そろそろ、私も帰らないと。 私の手には、彼から渡されたタオルが握られている。 明日、洗って返さなくちゃ…ね。 彼の汗と、私の涙が染み込んだタオル…。 とりあえず私は、カバンにタオルを詰め込んだ。 そもそも私、なんでこんなに泣いてたんだろう…。 未だぼーっとする頭で、そんな事を考えていた。 …思い出せないな。 もう、記憶からも消えちゃうのかな。 記憶から消えても…心の奥底に負った傷は、いつもこの時期になると蘇って…。 それで、泣いちゃうのかな。 忘れても、忘れられない記憶。 ……………。 帰らないと。 宿直の先生に見つかったら、大変。 私は荷物をまとめて、こっそりと学校を後にした。 時間はもう、21時過ぎ。 辺りはすっかり闇に包まれている。 泣いて腫れた目に、街灯の光がまぶしい。 こんな時間まで学校に居たことないから、ちょっと怖いな…。 しばらく歩いていくと、コンビニの光が目に入った。 …そう言えば、ご飯まだだったね。 家に帰っても…もう残ってないかなぁ。 あんまりお腹も空いてないし…食べる気もしないな。 でも、お腹が空いて寝れなくなったら困るし…。 そう思って私は、コンビニで菓子パンを一つ買って帰る事にした。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/01 10:51:34 PM
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