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カテゴリ:本
「ニシノユキヒコの恋と冒険」 著者: 川上弘美 出版社: 新潮社 つかみどころのないところが魅力の男ニシノユキヒコの女性遍歴を、つきあった女達の視点から描く連作集。 真実の愛を求めてさまようニシノユキヒコ、そのずうずうしいまでの奔放さに女は惹かれて、そして疲れてしまう。 10人の女が語る一人の男は、男のさまざまな面を見せるけど、やはり最後はどこか寂しい孤独な人間であることに行きつく。 描かれるのは、恋の具体的な描写じゃなくて男女の間の空気感みたいなもの。 (川上弘美はその描き方が抜群に上手いと思う) 2人の思いのバランス感が絶妙。 その曖昧な恋のやりとりに、どこか自分の「過去の恋愛」を重ねてしまう。 (過去というのは、ほら、一応今は主婦だからね) 10人の恋が描かれてるわけだから、誰しもひとりくらいは共感できるのでは? 手に入ったものは思い出すことはない。 でも、手に入らなかったものについては、折に触れて思い出す。 手に入ったら、どうだったのだろう。 今とは別の生き方をしているかもしれない。 そんなことを考える。 だからといって、時を戻したいとは思わない。 今更、手に入れたいとも思わない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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