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カテゴリ:本
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
J.K.ローリング /松岡佑子(訳) 出版社:静山社 超世界的有名英国童話の第3巻。 映画化だってとっくにすんでいるのに、今ごろ読みました。 ハリーも魔法学校ホグワーツに入って早3年目。 毎年憂鬱な夏休みを経て、ホグワーツに戻るのだけど、今回は世話になっているダーズリー一家の耐え難き仕打ちにキレて、家出。 そこで、恐ろしい事件が自分にふりかかったことを知ります。 脱獄不可能のアズカバンから脱走した囚人がハリーの命を狙っているらしいということ、そして、その囚人がかのヴォオルデモートの手先で、両親の死に深く関わっていると知って、心穏やかでないハリー。 同時に学校に戻っても、度重なる死神犬グリムの存在を人知れず感じ、囚人を追ってきたアズガバンの看守吸魂鬼たちにもいいようのない恐怖を覚えます。 とはいえ、普段は魔法学校の生徒としての生活が繰り広げられ、ロンとハーマイオニーとのなかよし三人組は健在、球技グディッチにも練習に熱が入り、そして新任のルーピン先生との交流も深まっていきます。 そして、最後「アズガバンの囚人」ことシリウス・ブラックとの対決がハリーを待っています。 ハリポタシリーズは(今は日本では第5弾まで出版中)、児童書のはずだけど、なかなかどうしてかなり複雑な構成を持つストーリ展開になっています。 出生の秘密、魔法、寮生活、スポーツ、友情、憎らしいライバル、いい先生&いやな先生、絶大なる敵、モンスター、アクション、サスペンス、スリル、……ありとあらゆるヒットの要素が満載で、それが実にうまく組み合わされていて、そりゃ大人が読んでもちっとも遜色のない本と言われるだけのことがあります。 いたるところに伏線が張り巡らされ、何気ないやりとりや出来事もあとあと効いてくるのだから、下手なミステリーより、より高度なミステリーともいえるのでは。 そして、読み出したら止まらない疾走感もばっちり。 もともと子供のために書かれているのだから、躓くことなく一気に読めてしまいます。 三冊目は、ハリーの過去がさらに明るみに出ます。 全貌がわかるのは、さはり最終巻まで待たなくてはならないのでしょうか。 ストーリー終盤は、どんでん返しに次ぐどんでん返し。 で、もはやこんな結末が待っていようとは。 実にサプライズに満ちた話でした。 で、最後は1冊目2冊目に続いて、やっぱり泣いてしまいます。 今回は、ハリーがせっかく手に掴みかけて大きな幸福が、すんでのところでするりと抜け落ちてしまい、その切なさに強く落胆してしまうし、それだけにハリーの孤独をひしひしと感じずにはいられません。 だけど、ハリーにはダンブルノア校長をはじめ、あたたかい大人達が彼を見守っています。 今回はさらに、もう一人彼の心の支えとなる人の登場が彼の心を明るくします。 境遇は苛酷だけど、彼はいろんな人に愛されて支えられて成長してる、それは読んでいるおとな達にもホッとさせられることであります。 それだけに唯一の肉親であるはずのダーズリー一家のありかたは対照的。 (その対比がおもしろいのでしょうが、あれは児童虐待にならないのでしょうか) 最後に小さな希望は残ります。 それはいつか実現するのでしょうか。 そして、巻を増すごとに大きく成長するハリーはどこに辿りつくのでしょうか。 また図書館で続きを見つけたら、読んでみます。 (一日で読み終えてしまう本をいちいち買うだけの金銭的収納的余裕は、うちにはありません) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年06月13日 19時15分20秒
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