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カテゴリ:本
嫉妬の香り 著者:辻仁成 出版社:小学館 愛ある限り、必ず嫉妬は存在する。 かわいいやきもち程度なら、恋愛において活性剤になるかもしれないけど、強すぎる嫉妬は身を滅ぼします。 主な登場人物は、主人公で語り手であるテツシ、その恋人・ミノリ、そして高校の先輩にあたる政野とその妻・早稀の4人。 テツシが、政野とミノリの関係を疑い、嫉妬にかられるところから物語は始まる。 実際に彼らの間に何かが起きているのか、確かめることもできない、しかし思いあたるふしもある。 悶々とうだうだと、うっとうしく悩みだします。 それは早稀も同様で、自分たちの苦しみは共同のものとして、ふたりは急接近していく。 そして、いつか自分たちの愛する者たちの裏切りによって被る傷を軽くするために、関係まで持ってしまう。 未来に対する予防策として、と割り切った関係だった2人、しかしいつしか2人の間にも愛情と呼べるものが育ち始める。 ミノリと早稀への愛に挟まれて、新たな悩みに陥りつつも嫉妬の火は消えない。 テツシの精神は疲労していく。 そしてそれによって、4人の関係は……。 ……と、これが序盤のあらすじ。 男の嫉妬の醜さを、フランスの恋愛小説のような洒落た構成と文体で描かれます。 嫉妬によって、なんだか本末転倒な行動に出てしまう男の愚かさに、ちょっと読んでるこっちも疲れてきます。 あれじゃ、女も逃げたくなるぞ。 そして、タイトルにもあるように、香りが、恋愛における重要なファクターとして、化学的に生理学的に論理的に官能的にストーリーに深みを生み出します。 ミノリの野生的で官能的な体臭。 早稀の洗練された香水が生み出す官能の香り。 どちらも男を惑わし、翻弄する。 子供ができてから、あまり香水をつけなくなったけど、ちょっと香りに凝ってみたい気分になってきます。 あくまでも洗練された大人の香りを目指したいものです。 それからミノリがアロマテラピストという職についてるため、リラックスのためのアロマのレクチャーもついてきます。 眠れない時は、ラベンダーとジャスミンと……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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