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2005年08月20日
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カテゴリ:
ロング・グッドバイ

「ロング・グッドバイ」ときたら、レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」。
どうやらこの本は、その有名な古典的ハードボイルドのオマージュとなっているようです。

ちなみにレイモンド・チャンドラーは「LONG GOODBYE」。
本書は「「THE WRONG GOODBYE」。

私が「長いお別れ」を読んだのは、20才の頃でストーリーはきれいさっぱり忘れてました。
で、本書を読むにあたり、再読してみたのですが、ほんとに内容を忘れていて、最後の最後まで記憶が甦ることはありませんでした。
名セリフ「ギムレットにはまだ早すぎる」、これもこの場面で出てくるのね~なんて細かいところも初めてのごとく楽しめました。

酒場で酔いつぶれた男と知り合った主人公。
妙に人好きするその男と何度か酒を一緒に飲んでいるうちに、友情めいた感情が生まれる。
ある日、主人公は、男に頼まれて車で国境まで彼を送る。
しかし彼には、殺人の容疑がかかっていて、そのため主人公は共犯の疑いで警察にマークされる。
しかし男が逃亡先で死んだとことがわかり、殺人事件そのものが立ち消えとなる。
事件の成り行きに納得がいかない主人公は、独自に事件を洗い出す。
また主人公は、とある失踪者の捜索を依頼されて、そちらも引き受けて捜査を始める。
………。
そして、彼は2つの事件の真相を知る。

上記が、「長いお別れ」のストーリーの骨格。
「ロンググッドバイ」もこの骨格に沿ってストーリーが展開します。
しかし、描かれる事件自体は、全く違う。
同じじゃつまらないですものね。
事件のスケールは、本書の方が断然大きいです。
でも事件の真相まで骨格はやはり同じです。
さすがに全く別物の話になると、オマージュにならない。
そのへんのバランスはとれていると思います。

具体的な対比をいくつかあげてみます。

オリジナルは、1950年代のハリウッド近辺が舞台で主人公は私立探偵。
本書は、20世紀の終わり頃の横須賀が舞台で、主人公は刑事。
日本では警察官しか拳銃を持つことができないですから、この設定は重要。
そしてどちらも、ハードボイルドの主人公らしく、やせ我慢を重ね、多くを語らず、反骨精神の塊で、人付き合いが下手です。
そして本書の主人公の方がさらに禁欲的かも。

オリジナルで主人公が友人を送る国境とはメキシコとの国境。
日本は島国だから国境はどうするのかというと、実は日本には外国があるのです。
日本各地に点在する米軍基地、1歩踏み入れれば、アメリカ合衆国です。
つまり基地の入り口が国境となるわけです。

オリジナルの主人公の友人は、酒浸りの第二次世界大戦に従軍した退役軍人。
本書の主人公の友人は、酒浸りのベトナム帰りの日系アメリカ人退役軍人。
どちらも、彼の軍役時代のエピソードが事件の鍵を握ります。
そして、主人公の友人に対する複雑な感情も似たものがあります。

オリジナルで有名なカクテル「ギムレット」。
本書では「ダイキリ」が主人公と友人をつなぐ小道具として登場します。
酒と割るジュースの銘柄にこだわるあたりもどちらにも見られます。

そして、第2の事件の依頼者である魅惑的な女性。
どちらもアイリーンという名前。
オリジナルでは、ブロンドの「夢のような」美女。
本書ではアジア系アメリカ人の有名音楽家。
どちらも主人公とあやしくなりそうな展開となります。

そして、オリジナルでは、事件を通して、ハリウッド(当時はまだ映画スターの街というよりは、もっと上流階級の街という感じです)に住むセレブたちのあり方を皮肉っています。
それに対して、本書で描かれるのは、米軍基地という存在。
戦後の日本と基地との関係が端的に描かれ、そんな違和感の塊である存在に、普段目をそらして生きている自分に気付いたりします。
著者の作品である「あ・じゃぱん」も架空の戦後日本を描くことによって、戦後日本を痛烈に皮肉っていました。
そのほかの作品は読んだことはないけど、それが彼の小説のスタンスなのかな。
といっても、本書はハードボイルド色が前面に出ているので、純粋にハードボイルドとして楽しめると思います。

ラストの締めくくりはオリジナルも本書も同じです。
事件の全容が明らかになるけど、主人公のやり切れなさが切ない、そういうラストです。

そして、ハードボイルドという小説ジャンル。
舌足らずな会話が多くて、禅問答みたいな会話も少なくありません。
「それって、どうゆうことよ」みたいなことが多いわけだけど、主人公たちがいつも十二分に語り合っていたら、そもそも事件も起こらないかも。
禅問答のような会話から、そこにちらりちらりと現れる真実の言葉をいかに汲み取るか。
その離れ業が、ハードボイルドの楽しさなんでしょうかね。

しかし、これだけだらだら書いてきて、実は感想らしき感想を書いてないことに気付きました。

ひとこと。
単独で読んでもおもしろいけど、やはり二冊読んだほうが、おもしろいです。
さらに言えば、レイモンド・チャンドラーを何冊か読んで、フィリップ・マーロウの世界を満喫してから、本書を読む。
たぶん、それがオマージュ作品の楽しみ方でしょうかね。
ありや、また一言で終わらなかった……。





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Last updated  2005年08月22日 22時09分47秒
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