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2006年04月12日
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カテゴリ:
P・G・ウッドハウス選集(1)

描かれる内容も、登場人物も、背景も、実にイギリスらしい小説です。

舞台は、1920年前後のイギリス。
洋服選びも二日酔いの特効薬も、トラブルは瞬時に解決する天才執事ジーヴズ。
気はいいが粗忽者で、いつも何かしら災難に巻き込まれる若主人バーティ。
主人を襲う難題の数々を奇策で切り抜けるジーブスの活躍が描かれる連作集です。

……と描くと、「忠義物」というイメージになってしまうけど、それは大間違い。
なにしろイギリスのユーモア小説ですから、結構意地悪です。

まずは、二人の関係がおもしろい。

爵位は持たないけど由緒正しいウースター家の一員であるバーティ。
彼は、金に困ることはないので職を持たずに毎日遊びほうけている道楽者であります。
ジーブスは、そんな暇人ともいえるバーティの衣食住すべてを完璧なまでに管理する執事で、おまけに彼を襲うトラブルまでも処理している。
そんな関係の2人であるわけだから、主従関係であっても、結構立場は逆転してます。
バーティは主人であるけど、ジーブスなしには生活が成り立たず、ジーブスに完全支配されている状態なわけです。
靴下ひとつも、バーティ(ちょっと彼のファッションセンスにも問題があるのだけど)の思い通りにならないくらい。
バーティはそれがわかっていながらも、自分に快適な生活を与えてくれるのはジーブスだけであることも理解している。
ゆえに、あえてその関係に身をゆだねているとも言えます。

また、おかしいのは、ジーブスのトラブル処理。

鮮やかに主人の災難を処理するも、あえて、100パーセントの仕事をしないのです。
絶対、何かしらバーティが、痛い目に合うことになるというところがポイント。
それでも、トラブル自体はある意味、完璧に解決しているので、バーティも文句をつけようがない。
実は、主人のためにトラブルを解決すると言うよりは、主人に仕えている自分のために解決すると言う感じ。
よって、事件解決が結果的にジーブスが利を得ることになることが多々あります。
(そういう意味では、100パーセントの仕事?)
その辺が、ジーブスの、というかイギリス小説的意地悪が小気味よく炸裂してます。

それから、描かれる風俗も注目すべき点です。

上流階級の人間関係、階級別の社交風景、そんなところも読んでいて興味深いです。
まあ、小説全体としての背景が、階級社会ではあります。
でも、労働者階級(ジーブス)が上流階級(バーティをはじめとするお偉方たち)をコケにする図式となっているので、いやみにならずに笑って楽しめるものになっているわけです。

さてさて、こんな小説が、なぜに今までほとんど日本で翻訳されなかったのか不思議です。
解説によると、作者のウッドハウスは、探偵小説にも英国文学にも巨大な影響を及ぼし、全世界で百年以上も読まれつづける巨匠と言われる存在とのこと。
1975年に亡くなってはいるけど、死後もジーブス・シリーズがTVドラマ化されたり(見てみたい!)、全世界に会員を持つウッドハウス協会なるものもあるらしいです。
ついでに、イギリスでは、「ジーブス&バーティ」が普通に慣用句や代名詞のように使われるくらいだとか。
(本書は、そんなジーブス・シリーズの多数書かれた短編のうち、よりぬき12編が収録されてます)

昨今の日本でのメイド・ブームが翻訳の後押しになったかも、とも思えるのだけど……。
最近は「執事カフェ」なるものも登場しているらしいですから。


P・G・ウッドハウス選集(1)
「ジーヴズの事件簿」
著者:ペラム・グレンヴィル・ウッドハウス
翻訳:岩永正勝、小山太一
出版社:文藝春秋






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Last updated  2006年04月13日 16時06分25秒
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