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2006年05月01日
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カテゴリ:
雲南の妻

1970年代の中国・雲南省。
国境近くのこの地域は、多くの少数民族がひしめく場所です。
そこに、日本から、少数民族からなる民族独特の生産物(藍染の織物とか、お茶とか)を買い付けるために派遣された商社勤務の夫とその妻。
小説は、妻の視線で、夫婦と少数民族の人々との関わりが描かれます。

少数民族と呼ばれる、小さな共同体。
ほとんどが村単位の共同体のようなもので、漢民族や共産党による中央政府の支配が緩く、独自の社会形態で営まれています。
貨幣経済とは縁遠い農耕を中心とした共同体は、かつて古代の日本もそうだったように、母系社会であるところが多いのも特徴。
世界的に見て、規模が小さく農耕を中心とした原始的な共同体は、母系社会であることが多いようです。
農耕の働き手としては、女性の方が重要視されるからです。
(テレビの「ウルルン滞在記」なんか見ていると、アジアや南米の少数民族の村では、たいてい男たちは怠け者と相場が決まっているし)
よって、結婚制度も今の日本や欧米のものとは違った形式が見られるわけです。
たとえば、入り婿婚とか通い婚とか。
(ちなみに、平安時代の貴族の結婚形式も通い婚でした)

そして、ここからがポイント。
小説の中心となるのですが、雲南省の少数民族の中には、かなり独特な結婚制度をもつところがあるのです。

女性が女性と結婚するという同姓婚。

夫(男)を持つ既婚女性が未婚女性を妻として娶るという形態が主のようです。
つまり、その女性には夫(男)がいて、妻(女)がいる、という状態なのです。
つまり、その女性は、夫である男にとっては妻であり、妻である女にとっては夫であるという重複した存在になるわけです。
ひとつの家に、延べ人数的に夫が二人いて、妻が二人いる状態なわけです。
誤解してはいけないのは、一夫多妻制ではない、ということ。
夫(男)にとっては、妻の妻は、彼の妻ではなく他人なのですから。
これだけだといろいろ疑問がわくでしょうが、詳しい内容は、小説をお読みください。

もちろん、日本人からはすごく奇異に思える結婚形態です。
しかし、小説を読み進めていると、違和感はなくなります。
それが、その農耕で生活を営む母系社会においては、とても理にかなった合理的なものであることに納得してしまうのです。
それどころか、すごく理想的な結婚制度にも思えてきてしまうほど。
(きっと既婚女性なら同意してくれる人が多いと思います)
昨今は、日本でも妻の実家側にすりよって生活する家族も増えてます。
妻の母親が「妻の妻」みたいな役割を果たすお宅も多いです。
だから、意外にこういう形もありなのかも、とも思えてきます。

自分の生まれ育った社会にいれば、その結婚制度というのは、自明のものであって、その形態にあまり疑うことない。
もちろん、自分がこの日本社会にいる限り、結婚するのなら日本の法律にのっとった結婚を選択するしかないのだけど。
だけど、社会制度はその社会に合った形で発展するものだから、社会の数だけ結婚の形があるわけで。

そういう当然のことに改めて気付かせてもらうと、「こうでなければならない」という、こりかたまった価値観から抜け出すきっかけにはなりますね。
自分自身の結婚をも客観視することで、なんとなくじわじわと自分を覆っていた閉塞感の正体も見えてきたような気もします。
(なにせ結婚10年もたつと、結婚生活も中だるみ状態になってくるし)
だからといって、別に、生活自体が変わるわけではないです。
けど、「人の生き方はいろいろ」という基本に帰ることがきれば、気分はだいぶ違います。

「こういう生き方をするしかない」という考え方は窮屈。
「こういう生き方を選択しているにすぎない」と考えれば、とても楽ちん。

……なんだか本の感想からずいぶん離れたものになってしまいました。


「雲南の妻」
著者:村田喜代子
出版社:講談社





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Last updated  2006年05月02日 03時01分05秒
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