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カテゴリ:映画
●第48作 『男はつらいよ 寅次郎紅の花』 ●1995年 日本 ●監督: 山田洋次 ●出演者: 渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子、吉岡秀隆 毎週土曜日夜にHNK・BSで放映されていた「男はつらいよ」。 とうとう最終作48作目で幕を閉じてしまいました。 週末のお楽しみとして2,3作をのぞいて、ほぼ全作観ました。 今は、虚脱感と寂寥感に囚われてます。 来週から、私はいったい何を観ればいいのかしら? (好きなものを見りゃいいのですが) 寅さん役の渥美清は、この『紅の花』の公開された翌年の1996年に亡くなっています。 映画撮影時も彼の体調を気遣っての撮影だったようです。 ストーリーも最終作にふさわしい内容となっていました。 つまり、彼が亡くなったのでこれが結果的に最終作になったのではなく、最初から最終作として作られたものだったようです。 マドンナが浅岡ルリ子演じるリリーであるところも、それがうかがえます。 前半は甥の満男くんの恋愛騒動が中心で、後半寅さんの恋が動きます。 満男くんの恋も決着がつき、寅さんの行く末もなんとなく暗示させる終わり方になってます。 一応、寅さんは失恋といういつものお約束的パターンを踏むのですが、本当はそうではない。 寅さんには、柴又以外にも帰る場所ができたのですから。 山田洋次監督が言います。 「寅さんは永遠の思春期」なのだと。 全作失恋してきた寅さんだけど、実際は上手く行きかけた恋も多いのです。 しかし、そうなると寅さんの方がするりと身をかわしてしまう。 寅さんには、恋が実った先のことが怖いわけです。 中学生のとき、好きな異性と両思いにはなりたかったけど付き合いたいとは思わなかった。 そういう感覚なんだろうなあと思います。 それから、映画は神戸から始まって神戸に終わります。 公開された年に、阪神大震災がおきました。 その復興の様子をさり気なく映像に組み込まれています。 寅さんも、神戸でみんなの手助けをするのです。 ボランティアという言葉は似合わなくて、自然にその場で溶け込んでいました。 「兄さんの枠にはまらない人間が、こうした非常時に力を発揮するんだよ」 という博さんの言葉が印象に残ります。 そんなふうに、長年続いた「男はつらいよ」は、その年その年の世相を映し出すものでもありました。 今回のグッと来たシーン。 寅さんが、奄美大島に戻るリリーを送ることになって、柴又から一緒にタクシーに乗ります。 リリー「送るってどこまで送ってくれるの?」 寅さん「男が女を送るというのは、女の家の玄関まで送るということなんだよ」 リリー「ああ、寅さん!嬉しいっ」 寅さんはあんなだけど、時々すごくかっこいいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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