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2007年03月02日
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カテゴリ:



「ひとり日和 」
著者: 青山七恵
出版社: 河出書房新社

136回芥川賞受賞作。

母の中国留学をきっかけに東京に住む遠縁の71歳の老女・吟子さん宅の居候となった
フリーターの20歳の「わたし」。
「わたし」の、吟子さんとの共同生活と恋とバイトと、そして自立が、四季を通して静かに描かれます。

とても淡々と描かれ、さらっと読める小説ながらも、おもしろく読めました。
私がいいなと思ったのは、文体。
今風な妙に回りくねった比喩満載の修飾的表現がなくて、すっきりと対象物が描かれているのがいいです。
へんな内的独白もなく、奇もてらいもない。
それでいて、ところどころに「お?」とひっかかりを設けて、流し読みを止めるような工夫もされています。
つまりは、今の若い女性の生活を描きながらも、世代を問わない読者層に向けたスタンダードな小説だと言えるのではないかと思います。
それでも、やはり今どきの小説でもあったりするのです。
その辺のさじ加減が、いい塩梅で私は好きです。

吟子さんとの生活を中心に、「わたし」の日常が描かれます。
京王線の世田谷と調布の堺あたりの駅のホームが見下ろせる部屋での生活、家の周辺、バイト先(駅の売店)と狭い「わたし」の生活圏が丁寧に描かれ、彼女の狭い交際範囲も丹念に描か
れます。
それによって、彼女の成長や生活の流れが、無理のない形でストーリーとなっているように思えます。

そして吟子さん。
老女と若い女性。
その対立項を設けたことで、小説の奥行きが広がったと思います。
でも、互いにさほど干渉しあうこともない、さらりとした関係です。
ありがちな、「老人の知恵」で「わたし」が成長する、みたいな展開もない。
(「わたし」の生き方を批判もしなければ、失恋した「わたし」をなぐさめたりもしない)
もちろん、求められれば、ちょっと示唆に富んだ名言も飛び出したりするけど。
彼女は、人生を俯瞰する長老のような立場でなく、普通に現在進行形の人生を歩んでいる人として彼女に影響を与えているのです。
くどいようだけど、決して、彼女から学んでいるつもりはない、そこがポイント。
それと、若い恋と平行して描かれる老いらくの恋も、ひょうひょうとしていていいです。

昨今、多いなあと思う「フリーター」が主人公の小説。
「わたし」は、最終的に正社員となり、とりあえず定職にはつきます。
しかし、正社員の道が開けても、すぐにその話に乗るのではなく、いったん迷うのです。
親のスネをかじりたいわけでなく、別に将来に夢があってフリーターをやっているのでもなく、遊び暮らしたいわけでもなく、よりよい就職先を求めているわけでもない。
「そうか、迷うのか……」
それが、私(読み手である私です)が別世代の人間であると実感させられる箇所でした。







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Last updated  2007年03月03日 02時56分22秒
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