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2007年04月15日
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カテゴリ:


「風が強く吹いている 」
著者: 三浦しをん
出版社: 新潮社


お正月恒例の大学箱根駅伝。
走ることに興味をもったことはちっともないのに、子供の頃からほぼかかさずテレビで見ています。

もともと個人競技の最たる長距離走。
それをリレー方式にしたために、もっとも過酷な団体競技になった駅伝。
これ以上に肉体的にも精神的にも過酷な競技は、ほかには思いつかないです。

そんな競技が正月の浮かれ気分の中で行われます。
東京から箱根・芦ノ湖までの道のりを、10人で往復。
ひとりが20km以上の道のりを走り、それを襷でつないで走り抜ける。
普通のマラソンと違って、平坦な道から急斜面の山道まで、都会の喧騒から海辺の町、そして山の中まで、あらゆる風景の中を人の足で進んでいく。
これ以上の特殊な競技は、テレビではなかなか見ることができません。

直木賞受賞第1作と呼ばれる本書は、箱根駅伝に挑む10人の大学生が描かれます。
たった15校しか出場できない大学陸上界の頂点である箱根駅伝。
それを陸上弱小校であるうえに、メンバーのうち陸上経験者は3人のみであとは全くの素人、の集団が挑戦するという、冗談のような夢のような奇跡の物語です。

脛に古傷をもつ元ランナー、キャプテンであり指導者である「ハイジ」
3次元世界には興味のないアイドル顔の漫画オタクの「王子」
無邪気なイケメン双子「ジョータ&ジョージ」
スポーツエリートじゃなく、国費留学生である頭脳エリートの黒人の「ムサ」
東京から2日かかる山奥の僻地出身者である「神童」
司法試験合格者である理論派「ユキ」
陸上経験者ながらも、多留年&ニコチン漬けの不摂生生活者「ニコチャン」
クイズ番組マニアで雑学王「キング」
長距離走の申し子のような天才「走(かける)」

……と、わざわざ全員挙げてしまうほど、ユニークで愛着わいてしまうキャラクターの10人の無謀なチャレンジが、まじめにコミカルに描かれます。
(その他の登場人物も、魅力的)

結果的言うと、「箱根駅伝に挑戦する無謀な10人の若者の物語」という夢のようなストーリーである上に、500ページにも及ぶ小説とあれば、志半ばで夢破れる話になるわけはありません。
(やっぱりだめでした、なんて終わったら、読者の大ブーイングの嵐が起こるというもの)
つまり、終着点ははじめからわかっている物語を、どう読ませる内容になっているのか、というのが本書の注目点。
素人集団の彼らがいかに箱根駅伝出場にこぎつけるのか、その過程が問われるわけです。
まさに、途方もない長距離を走るマラソンのようです。

で、実際のところ。
ページをめくるのももどかしいくらいに、夢中になって読んでしまいました。
早く先を読みたくて、しかし終盤になると読み終えるのが惜しくなるくらいに読書に熱中しました。
ほぼ一気読みでした。
(個人的には、直木賞受賞の「まほろ駅前多田便利軒」より好きです)

描かれていたのは、あまりにストレートな青春物語。
彼らのサクセスストーリーが、ゴールに向かって時系列にひねりもなく描かれます。
それなのに、とてもおもしろい。
かといって、ふざけたおもしろさではない。
(時に大笑いしてしまうのは、走り以外のシーンとまじめさゆえに生まれるおかしさ)

「遊びでこんな苦しい思いをして走ったりしない」
と登場人物の1人が言うように、長く走るとは苦しさとの闘い。
イルカの泳ぎを見ているうちにシンクロマスターしたり、車を洗っているうちにカラテをマスターしたり、というようなお気楽な反則技は登場しません。
まっとうに彼らは走りと向き合います。
力量の違う10人それぞれの個性にあった練習で、10人それぞれの走りを追求していきます。
伝統的な上下関係や陰湿な人間関係、または数値至上主義の体育会気質(と、言い切ってしまうと体育会の人には申し訳ないけど)と無縁なところで、10人それぞれが、走るということの本質や長距離走に必要な「強さ」というものを自分の体と心でものにしていきます。

そして、クライマックス、箱根駅伝。
いやもう最後まで手に汗握る展開でした。
胸が熱くなりっぱなしでした。
結果は予想できても、祈るような気持ちで読んでいる自分がありました。





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Last updated  2007年04月15日 23時36分44秒
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