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2007年05月10日
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カテゴリ:映画
またまた、前回に引き続いて、先週放映された市川崑監督「金田一耕介」シリーズ。
(すみません、結構しつこいです)

今日は、ヒロインについて。

(ここからは内容に触れてしまうので、映画をこれから見てみようと思う方はご遠慮ください)



ここでのヒロインは、すなわち犯人。
犯人役となるベテラン女優さんは、いずれもすばらしい演技を見せてくれます。

ちなみに
「犬神家の一族」では、高峰三枝子。
「悪魔の手毬唄」では、岸恵子。
「獄門島」では、司葉子。
「女王蜂」では、岸恵子(再登場)。
「病院坂の首縊りの家」では、佐久間良子。

いずれもいい演技を見せてくれて、相当突飛なストーリーでもリアリティを持たせてくれて、何人も殺したことをすべて帳消ししたくなるような哀しさを表現しています。
その上、皆様、とてもお美しい。
若手ヒロインすら凌駕してしまう迫力ある美しさです。


松子夫人役の高峰三枝子は、当時58歳。
圧倒的な品格と鬼気迫る演技で、息子を思うあまりの相当自分勝手な理由での殺人すら、周囲に納得させてしまいます。
ただ殺される人々が、はじめに殺される弁護士以外はろくでもない男ばかり、というところが、観客をして「仕方ないか」と思わせる点でもあるのですが。
腹違いの姉に自分の子供を殺されてしまった妹たちも、呆然としたまま姉をののしることもできない有様。
(呆然としている間に、姉はさっさと自害してしまうのだけど)

ついでに、彼女は、「女王蜂」にも出演。
華族の奥様役がぴったりはまっていました。
というか、彼女はそういうゴージャスな役でしか見たことないのですが……。


青池リカ役の岸恵子。
こんな鄙びた田舎にこんな人がいるのか思われるくらいの、垢抜けた宿屋の女将さん。
もともとちょっと日本人離れした彫りの深い顔立ちの美人ですし。
ノーメーク風なのに、アイラインだけはばっちり、というところが70年代という感じです。
当時45歳という年齢でありながら、若い女優たちをさしおいて群を抜く美しさです。

殺人の動機となると、これまた5作品の中でいちばん自己中心的なものになります。
(もちろん同情すべき点は大いにあるのですが)
彼女は5人ほど殺しているのですが、そのうちの3人はなんの非もない娘さんたち。
それどころかある意味被害者的な存在です。
しかし、それすら目をつぶってしまうような、彼女の後悔と悲痛さを訴える演技に胸打たれてしまうのです。
彼女にひそかに思いを寄せる磯川警部(若山富三郎が好演)の存在が、さらに結末の憐れさを引き立たせます。

彼女は「女王蜂」では神尾秀子役。
事件の舞台となる大道寺家の家庭教師・秀子は、実際には連続殺人の犯人ではありません。
20年もの思いを秘め続けた男の罪をすべて自分がかぶって、無理心中のような形で自害します。
終始抑えた演技で、それでいて独特な存在感を見せる彼女。
それだけに、死後に明かされる手記において、彼女の真情に涙が誘われます。
なんといっても、彼女の年齢を超越した美しさが、ストーリー中での年月の流れの中で、普遍なものの象徴としてあり続けるものであって、その上に女の哀しさまでを際たたせます。
(って、もう何を書いているのかわからないような文章だけど、気分だけ読み取ってください)

……、今日はここまで、続きはまた次回。
(まだ続くのか)

 
   

 
 





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Last updated  2007年05月11日 02時14分32秒
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