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カテゴリ:本
「百年の孤独」 著者: ガブリエル・ガルシア=マルケス 訳者: 鼓直 出版社: 新潮社 コロンビア出身のノーベル賞作家ガルシア=マルケスの1967年に発表された代表作。 20世紀最高傑作作品の1つと評されています。 実は、10年以上前に一度10ページほどで挫折していて、2度目のチャレンジです。 今回は、うそみたいにぐいぐい読み進められました。 はまりこみました。 蜃気楼の村マコンド。 その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。 20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。 (「BOOK」データベースより) ……と、上記の説明を読んでも、なんなの?てな感じでしょうが、とうていあらすじなんて語ることのできない本です。 百年という時の流れの中で、定点はありません。 流れる時間の中で、変化していくマコンドという土地(村から市と発展、そして衰退)と同じく変化していくブエンディア一族(同じく発展と衰退)が描かれます。 よって、主人公と呼べる人物もいません。 本書の冒頭に家系図が載っていますが、そこに書かれるのは22名。 それ以外にも彼らをとりまく人物たち、多数。 誰が中心ということはありません。 いうなれば、中心は家と土地。 ブエンディアの家を中心にマコンドという土地で繰り広げられる、寓意と物語に満ちた物語です。 それじゃ、誰に自己を投影したり感情移入したりすればいいの? てなことになります。 そんなこと必要ありません。 というか、できません。 出てくる人物は、常軌を逸した人ばかり。 人並みはずれた人々が人並みはずれた行動し、人並みはずれた人生を送ってます。 (そんな人たちが何人も絡み合ったら、さらに相乗的に人並みはずれていきます) だから、そんな人々に寄り添うのはムリ。 誰か一人にかまっていたら、おいていかれます。 いやもう、すごい濃すぎる人間関係。 なのに、個々は互いに理解し合わず、誰もが孤独。 (孤独さを悩んでいる人はいないですけどね) そのドライさも、ある意味読み手を楽にしてくれます。 「どこから読んでもおもしろい」 と誰かが本書を評したように、どのページにも物語に満ちています。 途中ページをめくり損ねて2ページ飛ばしてしまったら、話の展開がわからなくなってしまったくらいに、常に何事か起きています。 リアルと超リアルが違和感なく交じり合い、誇張表現が通常描写のように羅列され、「ありえない」エピソードが満載。 それなのに、そんな世界にいつの間にかなじんでしまいました。 過剰さの洪水には、いずれ慣れるのです。 そして、ラスト。 この壮大なストーリーの締めくくりは見事です。 すべてを纏め上げて、すべてを締めくくって、きっちり終結させてます。 読んでいる方も、すごい達成感でした。 ちなみに、私の中では、読んでいる間、モーリス・ラベルの「ボレロ」がずっと流れているような感覚に囚われてました。 不安定な気分にさせられつつも心地よいフレーズ。 その形を変えた繰り返し。 じりじりとラストに向けた盛り上がり。 劇的なラスト。 物語の世界観に通じるように思えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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