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カテゴリ:本
先月読んだ本について、ざっと振り返ります。
海霧(上) 海霧(中) 海霧(下) ■「海霧」 明治から昭和にかけて、北海道・釧路の地に一代で大商店を築いた男と家族の3代に渡る盛衰が、街の発展とともに描かれます。 かなりの長編で、しかも密度も濃くて、読み通すのになかなか時間がかかりました。 といって、読みにくいというのではなく、いったん読み始めたらなかなか止められなくて、連日睡眠不足になってしまいました。 明治時代の北海道の開拓史や、戦前の商家の様子など、ほとんど知らないことばかりだったので、そういった意味でも読む楽しみ倍増でした。 読了日:11月06日 著者:原田 康子 大奥二人道成寺 ■「大奥二人道成寺―お狂言師歌吉うきよ暦」 シリーズ2作目。 今度は大奥の権力争いに巻き込まれるお狂言師・お吉。 シリーズ化したためか、主人公を挟んだ三角関係の決着は、つかぬまま。 私は、宗助さんの方がいいな。 読了日:11月09日 著者:杉本 章子 切れない糸 ■「切れない糸」 (創元推理文庫) 父の急死をきっかけにクリーニング屋をついだ青年が、商店街の中で成長していく姿を描く、日常の謎系ミステリー。 主人公に共感しながら読むというよりは、見守る気分(年ですかね)。 クリーニングの薀蓄は、ためになります。 読了日:11月11日 著者:坂木 司 ダブル・ジョーカー ■「ダブル・ジョーカー」 「ジョーカー・ゲーム」の続編。 D機関(帝国陸軍内にできた諜報機関)のスパイたちが敵(身内である場合も)を出し抜く姿が痛快なのは前作同様。 今回は敵側からの視点でストーリーが展開するだけに、D機関の動きはまさに鬼出電入という感じです。 「007」とは対極のスパイのあるべき姿に、しびれます。 なりたくはないけど。 というか、なれないけど。 読了日:11月14日 著者:柳 広司 発展コラム式中学理科の教科書(第2分野) ■「発展コラム式 中学理科の教科書 第2分野(生物・地球・宇宙) 」(ブルーバックス) 検定教科書で扱う内容の加えて、国際的水準ではこの程度のことは知っておきたいという発展的な項目も加えてある中学理科教科書。 しかし、この本を大半を占めるのは、「発展」部分なのです。 昨今の若者の理科離れの一因は、そもそも彼らが「理科」という教科に触れていないところにあるのでは?と思わせます。 私が「中学で習ったよなあ」と記憶することも、今は学校で教わっていないようだし。 もちろん、習ったからといって私の今の生活に直接役立っているわけではありません。 でも、初めから出会うこともなければその分野に一生を捧げようと思い立つ未来の博士も技術者も生まれないわけです。 以前に「1分野」も読んだけど、第2分野の方が、やはり文系人間には理解しやすいです。 読了日:11月18日 廃墟建築士 ■廃墟建築士 「建物」がテーマのシュールな4篇。 いずれも非日常の世界を描きながらも、現実の行政システムや社会風潮にうまくかみ合って、不思議なリアリティに満ちています。 淡々とした味わいながら、読後に切なさといったような余韻が胸にじんわり残りました。 読了日:11月19日 著者:三崎 亜記 続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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