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カテゴリ:本
先月読んだ本の続きです。
冠・婚・葬・祭 ■「冠・婚・葬・祭」 冠婚葬祭、つまり成人式、結婚、葬式、先祖供養、をテーマにした連作集。 それぞれに、誰にでも訪れる人生の「ハレ」の場面を描いて、家族や人々のつながりにホッとさせられるお話となってます。 それぞれの話の登場人物が、ちょっとずつリンクしているところも、細かく楽しめました。 (最後まで読んで、また1話目に戻って確認、みたいに) 読了日:11月20日 著者:中島 京子 三月の招待状 ■「三月の招待状」 大学時代の仲間同士の5人の男女。 それぞれに青春時代の栄光と挫折を引きずり続けた彼らの卒業13年目の「青春時代からの卒業」。 付き合いの長い彼らに決して美しい友情だけがあるわけなく、互いが互いを上から目線で見ているあたりも、いかにも「角田光代の小説」という感じです。 いやだなあと思いながらも、かといって否定し切れないリアルさが、ついつい彼女の小説を読んでしまう一因だなあと思います。 彼女の小説を何冊も続けては読めないけど。 読了日:11月22日 著者:角田光代 いっちばん ■「いっちばん」 きちんと調べて読んでいないので、これがシリーズ何冊目なのか、ちょっとわからないし、もしかしたら途中うっかりと抜かして読んでしまっているかもしれません。 そもそも、シリーズ第1作目「しゃばけ」を読んだ時に思ったこと。 「自身の存在のあり方にブレのない妖と、どうしても悩むし弱いし罪を犯してしまう人間、という対立構造と、その中間に位置する若旦那の成長」というのがテーマで、このテーマでシリーズが進むのだろうな、ということ。 よって、「悩める人間」や「悪意ある人間」が登場しない話になってしまうと、単なる幼稚なお化け小説になってしまうのです。 それだと、やはり物足りないというか。 何しろ、妖怪たちは、自分たちの存在目的が特化している単純生物(?)。 だから、彼らが存在自体に疑問を持つことも苦悩することも基本的にはない。 そんな彼らだけしか登場しない話だと、ただの騒々しい話に終始してしまう。 どこにも共感や感情移入もできないままに。 そういう意味では、ここに収録されている「天狗の使い魔」は、「物足りない」。 「妖同士の揉め事は勝手にやってくれ」という気になってしまいます。 でも、「餡子は甘いか」は、「不器用で大いに悩む人間」と「器用だけど、器用ゆえに悪事を重ねる人間」が贅沢にもダブルで登場。 ちょっと妖怪色は薄かった(それはそれで、ちょっと物足りないが)けど、久々に初期の「しゃばけ」シリーズに見出したおもしろさを味わえました。 ほろりと泣けました。 読了日:11月22日 著者:畠中 恵 続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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