先月読んだ本のまとめ、の続きです。
獣の奏者(3(探求編))
獣の奏者(4(完結編))
■「獣の奏者 (3)探求編」
■「獣の奏者 (4)完結編」
壮大なファンタジー。
「闘蛇編」「王獣編」の2冊で一度完結した物語を、さらに押し広げて描かれた「探求編」と「完結編」。
作者があとがきでも述べているように、物語は視点が変わります。
「闘蛇編」「王獣編」は、エリンと王獣リランという個と個のつながりの物語。
それに対して、「探求編」「完結編」は、視点はもっと上から俯瞰したものになって、滔滔と流れる時間の中の生きる人々や獣の姿を描くスケールの大きい物語に転じています。
いつの世にも通じる人の営みを描いているがゆえに、物語の着地点はおぼろげにわかってしまう。
それでも、物語の強さや、そのうねりのようなものに圧倒されずにはいられません。
そして、いずれは歴史の中で埋もれていくであろう個々の生の輝きに、胸が締め付けられ、涙してしまいます。
読了日:12月15日
著者:上橋 菜穂子
アントキノイノチ
■「アントキノイノチ」
人の悪意に蝕まれ心を病んだ青年が、遺品整理という仕事に就いて奮闘する姿が描かれます。
主人公が、死者に対してさえ誠実であろうとする人々の姿に触れ、自分を見つめ直し、未来に生きる力を得ていく過程が、とてもすがすがしくて、感動的です。
ラストの旧友との再会シーンは、TPOともにちょっと都合よすぎるのでは?
でも、あのシーンがなければ読者もわだかまりを残してしまうだろうなあと思うから、やはり必要かも。
読了日:12月15日
著者:さだ まさし
挑戦するピアニスト
■「挑戦するピアニスト 独学の流儀」
著者は、社会人ピアニスト。
プロと違い限りある練習時間の中で、いかに効率よく曲を理解し、暗譜し、マスターしていくかということを、とても論理的に述べたピアノ演奏方法論となっています。
楽曲分析部分は専門用語が多くて難解で、ちっとも読み進められないのですが、それでも現在ピアノを学んでいる身には参考になるところも多々。
もちろん、理論がわかったからといって、弾けるようになるわけじゃないけど……。
読了日:12月16日
著者:金子 一朗
小泉武夫 微生物が未来を救う-別冊 課外授業ようこそ先輩
■「 微生物が未来を救う-別冊 課外授業ようこそ先輩 」
小学生に向けた内容(NHK「課外授業ようこそ先輩」の放送分を編集)なので、発酵学入門書としてとっかっかりがいい1冊。
小泉先生の研究に対する情熱や愛情が随所にうかがえ、とてもうらやましくなります。
読了日:12月17日
著者:小泉武夫
あともう1回続きます。