前回に引き続いて、昨年読んだ本からのチョイス。
今回は、海外編です。
といっても、日本の作品ほど数多く読んでいないので、ベスト5といたします。
いずれも、深い感動を覚えた作品ばかり。
日本編と合わせたら、こちらの5冊が上位を占めてしまうくらいです。
(だから、分けたわけで……)
5位
「くらやみの速さはどれくらい」
エリザベス・ムーン
カテゴリーは、近未来SFとなりましょうか。
21世紀版「アルジャーノンに花束を」として賞賛され、2004年ネヴィラ賞受賞。
自閉症者ルウの視点で描かれる世界が、新鮮な驚きに満ちています。
当たり前に存在していた事象を別な面から光を当て直したような、目が覚めるような感動がありました。
読み終えるのがもったないと思えた本。
4位
「見知らぬ場所」
ジュンパ・ラヒリ
インド系移民(主に2世)を描いた短編集。
静かな日常のなかにおいて人々の間に生じる機微が丹念に描かれ、言葉に表現されない感情にはっとさせられます。
そして、いずれも得がたい余韻が胸に残ります。
3位
「タイタンの妖女」
カート・ヴォネガット
’59年に発表されたヴォネガットの代表作(これは昨年発行の新装版)。
滑稽で残酷で、おまけに虚無な「運命」に翻弄される人々を描いたSF。
筆致はシニカルかつユーモラス。
なのに読んだ後、なんとも言いようもない感動が、じわじわ、じわじわ、じわじわ……。
ちなみに爆笑問題の大田光がヴォネガット作品の大ファンで、解説を書いてます。
2位
こちらは映画のDVD
【中古】【古本】シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説
「シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説」
ローラ・ヒレンブランド
1930年代後半、アメリカ全土を熱狂させた伝説の名馬シービスケットとそれに関わった人々を描いたノンフィクション。
ノンフィクションでありながら、小説仕立ての臨場感あるものになっていて、とても引き込まれました。
競馬とは、速く走ることができる馬たちを半ば強要して競わせるものではない。
「誰よりも速く走りたい」という馬たちの本能を最高の状態で引き出してあげることを競うものなのだ。
……と、読んでいて強く実感しました。
競馬に対し、今ほど科学的アプローチがないだけに、人々の情熱の強さに圧倒されます。
1位
「また会う日まで」
ジョン・アーヴィング
アーヴィングの自伝的要素満載の長編。
一言でいうならば、アーヴィング版「父をもとめて3千里」。
長いです。
特に上巻は、冗長なまでの長さです。
主人公少年期のイタ・セクスアリス部分はうんざりするほどです。
しかし下巻になると、その長さが意味ある長さであったことを実感し、まるでオセロのコマをひっくり返すような急展開は、一流のミステリーを読むような快感を覚えます。
そして、荘厳で美しいラスト。
まるでフルマラソンを走り抜いた者だけにしかわからない(走ったことないけど)、至上の幸福感に包まれました。
とても長い旅を終えたような心地よい疲れに、充足感も覚えます。