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カテゴリ:小学生の頃
小学校2年生の時、私はみんなが履いているような 紅い塗り下駄がほしかった。でも、 母はいつも、無地の桐下駄ばかり買うのだった。 ある日ショウウィンドウに 濃いピンクの地に花がたくさん盛り上がっているような塗り下駄を みつけた。 今度こそ、これを買ってもらいたいな~と思って 母に言うと言下に、 「みっともない。桐の下駄が一番いいのよ」と、言うのだった。 今、思えば、私もそう思う。 が、子供の私には、 紅い塗り下駄が燦然と輝き、素敵にみえた。 とうとう、下駄を買う日が来た。 「私が一人で買ってくる===」と言ってお金をにぎりしめて走った。 まんまと塗り下駄を手に入れて、 「あのね、桐下駄は無かったの、これしか無かったから」 と言っておずおずと母にさしだすと、 「あらいやだ、返してらっしゃい、桐下駄があるとき買いましょうね」 と言うのだった。 私の幼い作戦は散った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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