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カテゴリ:小学生の頃
私は、乗り物に酔う子供だった。
どこに行くにも、蒸気機関車の時代だったけれど、 その都度、酔うのだった。 いつでも、吐いて吐いて、辛かった。 あの、真っ黒な蒸気機関車の煙の臭いは、特に苦しかった。 吐き気をもよおしてしまうのをがまんしながら、 どこかに行くのは、悲しかった。 夏休みに一家で、箱根にお泊まりに行った時は、 車の中で吐きすぎて、 次の日は、もう、絶対、車に乗りたくないと言ったので、 家族は、母と一緒に車で帰り 父と私だけは、歩いて箱根の山を下りた。 小さな私だったが歩くほうがましだった。 1日かかって歩いて、 父とふたりで、箱根の山を下った。 次の年の夏休みは、江ノ島に泳ぎに行った。 車酔いの為、吐いて吐いて、非常に辛かった。 両親は、 普段は口にできない大きなバナナの房をはりこんでいた。 そのころ、 バナナというフルーツは、お金持ちの家の人しか 食べられない高価なものだったのだ。 それなのに、私は、 気分が悪くて1本も口に出来なかったのが残念だった。 とうとう、恐れていた 小学校の修学旅行がやってきた。 バスの旅だった。 何故か、気分が良かった。 普段は、車の近くまで来ると、あのガソリンの臭いで あっと言う間に気持ちが悪くなるのに 全く、気分が悪くなることはなかった。 楽しい楽しい修学旅行が出来た。 そして、その後、すっかり車に酔うことが無くなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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