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カテゴリ:夫
そばに若い女性がぜんぜんいない私達夫婦の暮らしは
すごく地味で、どちらかと言えば、暗い生活である。 だからかもしれないが、 病院で暮らしてみると、 看護師さんは、どの娘もどの娘も、皆、とっても美しくみえる。 可愛くて、きれいだ。若々しく輝いている。 肌などシミひとつない。もちろん皺も全くない。 注射を持つ手もきめが細かく、 真っ白で、ほっそりしてぴかぴか光って美しい。 きゅっと締まった体に、白のユニフォームが、清らかに匂うようだ。 そして、声も可愛く、にこやかなのだ。 こんなに澄んだ美しい眼差しで、じっとみつめられ、 優しく手をとられることなど、絶えて久しい私の夫。 夫は、点滴注射をうたれて、 「ありがとうございます!」などとうれしそう。 彼女らの前では、むすっとしているが、 いない時は、 「今日の係はみすずちゃんだ~」とか、 「今朝は、るり子ちゃんだ~」とか、 「今夜は、みきちゃんだ~」などと、 胸についているネームをめざとく読んで、覚えてしまって、 そして、ファーストネームで呼んだりして喜んでいる。 たまに、年配の人にあたると、「あああ、今日は年増だった~」とか、 「あああ、今日はおばちゃんだ~」とか、 「今夜は、カバだな~~」とか言って、がっかりするのだ。 24時間点滴だから、一回針を刺したら、針は、そのままにして、 薬だけを、取り替える。 ところが、何故か針が、すぐに詰まって 何度も何度も刺し直さないとならなくなるのだった。 その度に可愛い看護師さんが来てくれて、 ごめんなさいね~などとやさしい言葉。 美しい白い手で、針を刺し変える。だから、夫もうれしそうだった。 しかしだ、 7日も経つと、だんだん分かってきたことがある。 「もう、いやだ~、今日はこれで、11回目だ、痛いのいやだな~」 という事。 そして、 若くてかわいい子ほど、注射が下手なのだ。何回もやり直すのだ。 でも、おばちゃん看護師さんは、 どんなに見えない血管でも、たった一回で、さくっと刺して一発で終わる。 しかも、長く長く、もつ。詰まって刺し変えなくてすむのだった。 夫は、 「あああ、年増だ~」とは、言わないようになって、 ベテランのおばちゃん看護師さんを待っている気配。 うふふ 男の人って、分かりやすいわね。 寅さん映画じゃないけど、 「ばかだねえ~~~~」 でも、 聡明な奥様は、ふふふなんて、笑ったりしませんでしたとさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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