おとろえ
若いころは、 次の日に着る夫の服装は、前の晩、ちゃんと揃えて用意していた。 娘時代は、きゃぴきゃぴの飛んでる私だったが、 母が父にしていたように、夫に仕えるという気分があった。 10才上の夫は、 新しい感覚を他の人よりも多分に持っていたのだが、 まだまだ時代は、 夫たるもの、妻にかしずかれるのが普通の時代でもあった。 私が60才を越えたころ、転勤して忙しくまた、 だんだんものぐさになって来たのか、 私の心配りが行き届かず、 夫は、自然に、 自分で自分の服装を整えるようになってしまった。 最近では、 出かける時になってふと見ると 私と夫の服装がとんでもなくちぐはぐになっているのを発見して 少し、たじろぐ。 そんな時、 これにして欲しかったなどと言っても後の祭り。 私は、こんな男と歩きたくないな~と内心思うが がまんするしかない。(バチあたり…) お洒落だった夫も、色気が無くなってきて、ものぐさである。 あまりひどい時は 「若い女性に嫌われるから云々」などと言って、 一部分でも着替えてもらうよう、お願いしてみる。 夫も、若い女性という言葉に少し反応して、 しぶしぶ着替えてくれる。あは まだ、ちょっぴり男性気質の部分も残っているらし…