東京ペットライフ

朝、10時。両親から電話。
これから遊びに来るという。

のんびりと土曜の朝を楽しんでいたが、急にあわただしく
部屋の掃除。
両親はモノが少し斜めになっていても嫌なタイプ。
言い伝えのなかのドイツ人のお姑さんのように、隅々まで
掃除がなってないと、手厳しく批評する。

小学生の頃、自分の部屋のクローゼットのなかの洋服に、
髪の毛一本ついていて、
こっぴどく怒られた経験がある。

で、小一時間ほどで、数日前から、なかなか最後まで
やり遂げられていなかった片づけがあっと言う間に片づいた。

両親とは、お互いとても忙しいので、２～３年に一度会うかどうかのペースでこの10年は過ごしてきた。
今回は、一年ぶりの対面。

彼らは大変な移動好き。
今年は、春にイタリアに数週間行っているが、年末年始はオーストラリアに、年が明けたらスペインへ行くらしい。その合間に国内を車で、電車で、走り回って楽しんでいる。

11時頃来宅。
仕事部屋兼私の部屋でくつろいではいたものの、
移動好きの三人は、じっとはしておれず、
嵐のなかをカッパ橋に行くことになった。

浅草で天ぷらを食べて、ビールを数本空けてから、ご機嫌で、この数日開催中のカッパ橋道具街まつりへ。

良いものが、安かった。
味のある季節の角皿が、７００円も出せば手に入る。

豆皿に最近はまっている私は、ため息をつきながら
えんえんと物色。
クールなタイプから、渋めのタイプ、古典柄のものまで、
とりどり1つ１～３００円といったところ。

あー。しまった！
あんなスーパーなんかで、焦って買うんじゃなかった、と、心の中で悔やむ私。

カッパ橋は、昔ながらの店が多いが、最近は代替わりが進んでいるのか、若い人が経営しているショップも多い。
人気の和洋折衷飲み屋の雰囲気そのままの、凝った店もある。
眺めて回ると、経営者の考えが透けて見えるようで
勉強にもなった。

一方。
両親は料理好きで、趣味で和洋の料理学校にも通っていた時期があるが、最近はもっぱら作る方より食べ歩く方がお得意。
あまり調理器具、道具の購入には興味がないらしい。
が、その割には、どの店にも批評を垂れながら
いろいろ見て回って楽しんでいた。

あー。おもしろい。
店から店へと縫うようにして歩いた。

しかし。
横殴りの雨が、父のカサを折る。
よそ行きの洋服の裾は、ずぶ濡れですっかり重くなり、
折りのところに水たまりができている。
フェスティバル、を謳った商店街だが、
店じまいをするところが出てきた。

さすがの三人も、ようやく気がつく。
その後、丸の内、日本橋と遊びに行こうと思っていたが、
あまりに台風が酷くなってきたので夕方に解散することに。

立ち寄った上野駅では、ＮＨＫが列車運休の看板を撮影していた。

横殴りの雨のなか、また長期になるだろう、さよならをした。
両親はそれでも明日は鎌倉に行くらしい。

移動好きな両親、
これからも元気で。