■積極的に猫に仕事を邪魔されるので怒ってみた
仕事で長時間キーボードに向かっていることが多い。自宅の仕事部屋で10時間でも15時間でも、飽きずにずーっと作業をしていることも多い。自宅には猫が二匹。たいていは私の見える範囲で遊んでいる。こまるのが、そのうちの太ったほうの猫・大ちゃん。作業中のキーボードの上や、キーボードを打っている右手の肘あたりを枕にして、べたーんと寝るのが好きだ。ちなみに、いまは、キーボードを叩く右手と左手の間にまあるく入って、左腕を枕にして、ゴロゴロゴロゴロ言っている。で、おとなしくしているなら、まだいい。ときどき、とーっても構って欲しくなるらしく、私の右ひじに両前足を使ってガッチリしがみついたり、右手をトントンと前足で叩いたり、じーっと私の顔を覗き込んで、目を見つめてにゃ~あ。と言う。作業に余裕のあるときなら別だが、それでも、わたしは仕事に集中していることが多い。まず、ここまで私が無視をしているときと言うのは、仕事相手から急な連絡が入っているときか、大変なトラブルが発生しているときか、締め切りに追われて時計を気にしながら必死に作業しているときなのである。ので、プチッとくることがある。今日が、そうだった。本来、大ちゃんは、とても穏やかな猫で、愛情深いのが分かりやすい性質だ。意地悪なこと、癇癪を起こすこと、などなどがない。それから、食事以外では、だが、我慢強くおおらかだ。同居猫・小ちゃんから受ける数々のイタズラを、たいへん辛抱強く受け流してあげている。それが。今日は、ちょっと様子が違った。はじめ、そばで行儀良く座って、飽きもせずに数十分、じーっとPC作業中の私の顔を見ていた。忙しかったので、ほとんど気にせずに私は作業を続けていた。そうすると、大ちゃんは私の右腕にしがみついたり、顔を見ながら私の手をトントンと叩いたりしだした。それでも無反応にしていると、大ちゃんはいよいよ机の上に寝そべって後ろ足で私の右腕をしゃかしゃかと蹴りだした。そうしながら、私の顔をときどき覗き込む。こういうしぐさは、小ちゃんは毎日のように夫や脱いだ靴下やラグマットや雑巾に対してやるのだが、大ちゃんは普段まったくしない。それでもわたしは先ほど、てんぱり事があったので、構ってあげなかった。その間、大ちゃんは何度も何度も私を呼んで「にゃあ」と言っていたのだが、とうとう痺れをきらしたようにして、厚手のセーターの上から腕に噛み付いてきた。何度も何度も噛む。「にゃ~あ、にゃ~あ」と言いながら、噛む。時々私の顔を見る。驚いて「こーら!」と注意しても、チラッと見て、また「にゃ~あ」「にゃ~」と言いながら思い切った、なんだかとても悔しそうな顔をして、噛む。ちなみに、この噛む、というしぐさも、小ちゃんならしばしば、靴下やラグマットや夫に対して積極的に思い切った様子でするのだが、大ちゃんはこれまでに2回ほどしたことがあるだけで、それも遠慮がちにしか、したことがない。でも、私が無視をしているときは、非常事態のときである。私は、ぴきっと来て、机の上から払いのけた。が、大ちゃんはすぐに駆け上がってきて、また、噛む。5度繰り返して、さすがに私はしつこいと思った。大ちゃんの両脇を持って抱き上げ、まっすぐに大ちゃんの目を見て、何するの!ダメッ!いけない子!という厳しい顔をした。ら。大ちゃんは満足そうな、やさしーい顔で私をじいっと見ている。体の力を抜いて、だらーんとして、私に身をゆだねてゴロゴロ言っている。アーモンドアイでまっすぐに見つめられて、あああ、、、と気がつくわたし。大ちゃんは、悪い子だから、噛み付いたのでは無かった。私が構わないから、イタヅラをしたのだ。私のことが大好きな、いい子なのだった・・ごめんね、大ちゃん。なでてあげたら、目を細めて、自慢そうに顔をあげた。大事にしなくっちゃ。