想い出は心の宝石箱に。。。

　吹上​御所では、萌えちゃんルックのメイドさん達が、身の周りの世話をしてくれる​

​　生活。札幌での庶民と一緒の​独身寮生活​は初めてで、大いに戸惑いを​覚えた

　のでした。


    
　 

　
　食事は、食堂に貼ってある票に、必要なら　◎　をつけます。ところが、

　残業で遅くなって寮に戻ると、自分が食べるべき夕食がない。誰かが先に、

　わちきの分も喰ってしまったのです。

​　ある日、風呂に入ると、なにか茶色のものが、中央に浮かんでいる。

　​ひょっこりひょうたん島​やんけ！！！！　波をちゃぷちゃぷ

   かきわけて・・

​

　そばに寄って見てみると、とぐろを巻いたウンチ！！

　も～、規律も何もない、めちゃくちゃな寮生活でした。

​

　たまたま、独身寮は​ラブホテル​と併設して建っており、（　どちらが先に

​　建設されたのかは、よくわかりませんが　）、土日になるとみんなで、

　窓から出入りするカップルを眺め、

　​（　よ～～～、そこのお二人さ～～～ん、元気ですかあ～～？　）
​

　と、声をかけたのでした。

​　
　仕事は、​道材合板​の輸出担当。各社、40歳近辺の中堅を配し、​激しく

　シェエー争いをしていました。そこに、新入社員同様の若造が飛び込んで

　きたわけですから、彼らは驚くと共にこれは弊社を潰すチャンスと、思ったに

　違いありません。

​　道材合板の輸出は​組合​で、輸出量が決められていることから、​ショート・ロング

　など相場師まがいの売買と嘘々実々のかけひきで、​​狸と狐の化かし合い​。​

​　
　＜信じる者は救われる＞との信条の悠愛は、他商社の情報を​鵜呑みにして

　騙される日々。


　そこで、悠愛も考えました。

　商売は信頼関係で成立するもの。道材合板の輸出ビジネスの​​基本は​メーカーと​

​　船会社対策​。ということで、自分と歳が近い​​Ｓ社の専務と、Ｍ船舶の担当者と

　胸襟を開いた仲となり、一挙に巻き返しを図ったのでした。

　輸出量が恒に３位以内にランクインされる、実績をあげるようになった事で、

　業界でも＜　あの若僧、なかなかやるじゃん！！　＞と、一目置かれる存在と

　なったのでした。

​
　ある時、メーカー、商社の担当者でミッションを組んで、​アメリカ西海岸​に

​　視察旅行をしようという企画が持ち上がりました。当然、自分が行くものだと

　出張伺いを、課長に提出したところ、

​　（　あっ・・これ、私が行きますよ。）
​

　（　なして？？　各社、道材輸出担当者が行くのですよ？！）

　（　関係ないでしょう。私、アメリカに行ったことが、ないのでね。）

　課員の前で、激しい言い合いがなされましたが、所詮サラリーマン社会は

​　上司が勝つもの。それ以来、私は彼に対する​不信感​が募ると共に、​​また二人の

　間にも言い知れぬ＜​　溝　​＞が出来てしまったのでした。


    ​

　札幌より北には、弊社の日本事務所はありませんので、

​​　（　お前、頭冷やしてこい！！　）

　との左遷命令はでませんでしたが・・・​​

​​　その頃合板の輸出国から、ラワン原木・合板の​輸入国​へと、日本は​​​移りつつ

　あり、東京本社では東南アジアの資源国​林区開発​へと​舵取りを変えて

　いたのでした。

 ​　　　　　　＝＝つづく＝＝　　　　​​

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