想い出は心の宝石箱に。。。

　私の​サラリーマン人生​を回想すると、福島支店長として着任後の１年間と

　いうのものは、​​最も有意義で且充実していた時間では、なかったのかと。

　何故なら、支社長から支店長として大抜擢され、彼の社内的面子を潰しては

​　いけないという想いが、身命を賭して福島支店を​再建​しようと、​寝ても醒めても

　仕事の事しか、頭にありませんでしたから。

​​　また、​場所長​というのは一国一城の主であり、総て自分の判断と​​​決断で

　進められる事が、水を得た魚のように悠愛を、​自由奔放​に​活動させたの

  でした。仕事というのは、ベストを尽くし天命を待つという事であり、​失敗すれば

　責任をとり職を 辞し、腹をかっ切ればよしというのが、私の​信念​でしたから・・​

​　その結果、取引先、社内各位の絶大なるご支援のもとに、なんと​１年​で​​福島

　支店の黒字化に成功。そしてこれが、福島支店の再建と認められ、​​​場所存続​

　が正式に決まったのでした。一番喜ばれたのは支社長であり、​自分の抜擢人事が

　正しかったことが、これで証明されたわけですからね。
       

　35章で述べた国内担当役員が、国内取引の活性化を図る目的で、​​その年に

　＜　​社長賞​　＞を創設し、第一回の表彰対象者として、​​福島支店が受賞する事が

　決定致しました。


   

​　弊社の社長賞ですから、最低​1000万円​程度は戴けるものと、支店内​各位は

　海外旅行何処に行こうかと、色めきたちました。役員の代理として​​支社長から、

　私が社長賞を戴き、開封すると​絶句​・・・・​端午の絶句​！！！

​​

​　なんと​十万円​。
　​

　再建は私だけの努力で、なしえたものではありませんから、支店全員で分けると

　手元に残ったのは、わずか１万円ちょっと。

​　う～～～～ん・・・これが、​社長賞​か？！

​​　いんや金銭的なものではなく、社長賞という​名誉​が総てであると、​自分自身を

　泣く泣く納得させたのでありんす。


   
 

​　その後は、福島支店の業績も順調に推移したのですが、３年後に​東北支社管轄

　子場所すなわち、福島支店・盛岡支店・青森支店を​​​総て廃止​し、業務を

　東北支社仙台に集約するとの、全社決断が​​でました。この方針は、東北地域

　のみならず、​全国各地の子場所​が​適用対象となったのでした。​

　その理由は、交通機関・情報手段の便宜化によって、子場所を置く必要もなく、

　支社からそれぞれの県を、管轄すればばいいとする、​＜　​合理化策​　＞の一環

　でした。


　それでは、私が心血注いで再建に​あたったあの努力は、一体なんだったのかと

　怒り心頭に達しましたが、こればかりは全社的な決断ですので、どうしようも

　ありませんでした。

​　各場所の女子事務員は、その土地にある子会社に転属、この機会に​​​退社または

　仙台への転勤、という選択を迫られました。郡山から​​仙台までは、新幹線で40分

　ということもあり、当事務所の社員は​仙台への​新幹線通勤​という事で、

　決着をみました。​

　さて、私はどうしたのか？　東京に戻るという選択もありましたが、既に10年

　近く本社を離れており、それよりはこれまでの地縁・人脈を​生かした方がよいと

　して、​仙台への転勤​を希望したのです。


​　私を抜擢した東北支社長は、燃料出身同期の男に交代しており、​​​副支社長​　

　すなわち盛岡支店とは異なり、本当の​NO.2​として​​赴任したのでした。

​　それでは最後に、美しい​裏磐梯​の景色をお届けしながら、福島県とは​これで

   お別れしましょう。

　​​

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