想い出は心の宝石箱に。。。

　その日は、全員が外出もせずに、会社で私の検査結果を、首を長くして待って

　いました。前立腺ガンであるかどうかを心配したのではなく、私のものが反応

　したかどうかという、​賭けの結果​をただ知りたくて。

​　​​​​（　悠愛さん、それで結果は？  ）​​​​​

    皇子は、何も言わずに全員の机の上に、1万円を置いてまわったのでした。

　敗軍の将は、兵を談ぜず・・・・

　​（　やっぱ思った通り、ラ・フランスか～～・・・　）​

  みんなの​憐みの視線​が、私の背中を痛いほど刺します。

  ＜　バカたれが！！、そういう問題じゃないのよ。  ＞

　内心怒りを押さえながら、私は自分のデスクに戻ったのでした。

　 確率論で75%に賭けたはいいものの、ひょっとしたら25%に入っているかも

　しれない。その日以来、前立腺ガンの恐怖との戦いの毎日となってしまいました。

　ネットで調べると、前立腺ガン治療はさほど難しくないが、ぼっき不全（　漢字で

　書いたらわいせつな表現と、赤字のクレームが楽天から、出たぞもなし　）・

　尿漏れの後遺症が免れないと。

   あ～～～、悠愛皇子の人生もここまでか、男としての機能を失ってしまっては、

　これ以上生きながらえても、なんの人生か？！ ​オジ捨て山​に行き、一人

　寂しく死を迎えるしかない。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、しょんぼり。

 

 　この話が社長に伝わり、

　 （  悠愛さん、賭けに負けたそうでは、ないですか。前立腺ガンの可能性が 

　　　25％あるのなら、他の病院で ​PET​ をしたらどうですか？　）

　（​​　ペットショップで、また肛門絞りするのう？？ 社長すんません、

　　　あほな事​​言って。でも、PET って 10 万円以上もする、高額医療検査

　　　ですよね。　）

　​（　​悠愛さんは、私が三顧の礼で来てもらった大切な人ですから​、​全額会社で

　　　負担します。　）

　と言って、社長自ら検査の予約をとってくれたのでした。

  PET　とは、ポジトロン断層法のことで、陽電子検出を利用したコンピューター

  断層画像診断。ガン細胞が、ブドウ糖を取り込むという性質を利用し、ブドウ糖に

  近い成分（　FDG　）を体内に注射し、PET で撮影します。

　ブドウ糖が多く集まる処がこれでわかり、ガンの所在が発見出来る手がかりに

　なるのです。但し、設備投資が莫大な ことから、この設備を保有する病院は、

　県内に２ケ所しかありません。

   PET 検査は痛みもなく終わり、担当医から画像を見ながら、説明がありました。

   前立腺ガンは PET では発見が難しいというところもあるけれど、この画像では

　前立腺ガンの兆候は、見られないとのコメントをもらいました。

 　バンジャ～～イ！！　おいらの 75%確率論が、

　当たったあ～～～！！

　この話を東京に戻ってから、クリニックの先生にしたら、前立腺ガンの発見の為に

   尿道から、内視鏡を入れることなどありえないと。したら、あの病院のこれまでの

   検査は、​一体なんだったのか！！​


　　　　　　＝＝つづく＝＝　　　　​​

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