想い出は心の宝石箱に。。。

​　何処までも直線が続くアウトバーンを、ＢＭＷ735i が​300キロ​で激走。

​　ブブブボバ～～ン、ブブブボバ～～ン・・・

 　​トランスポーター、フランク・マーテイン​ではありません。

　我らが皇子は、口笛を吹きながらギチェンジをし、不審な車が追走していないか、

　バックミラー・サイドミラーを時々見てます。

　＜　契約厳守　＞　＜　依頼者の名前は聞かない　＞　＜依頼品は 開けない　＞

　が、トランスポーターの三原則。

   うん？？怪しい車。　なんじゃ、あのちっこい車は？？

　バックミラーに写っているのは、ホンダのＮ360とスバル360。

　ＫＧＢでなく、日本のＹＡＫＵＺＡだあ～～。でもなんで、黒塗りのベンツで

　ないのよ？？？

　バギュ～ン・バギュ～ン。黒装束の男達が窓から身を乗り出し撃ってきますが、

　なにせＢＭＷとスピードが違う。こちらまで届かずに、道路に弾がポトリ・

　ポトリ・・・うさぎのウンチのごとく、落ちていきます。

　なんなく彼らを振り切って、私は弊社のソフイア事務所に着いたのでした。

　事務所といっても、住宅街にあるこきたない一軒屋だす。現金及びコメ・味噌など

　生活物資の受け渡しを終えて、皇子はトンボ帰りでウイーンに戻ったのでした。

　その夜は、ウイーンフィル楽団員による、悠愛皇子の歓迎レセプションが

　ホイリゲで開催されました。黒いタキシードの正装に、身を包んだ皇子は・・・

　きゃっ！！！シュテキ、シュテキ・・・・ナイトクラブの黒服さんみたい。

　ホイリゲとは、ワインと簡単な食事を提供する、ワイン酒場のこと。

　飲めや、歌えやの大宴会となり、まるに金の腹がけ赤フン姿で、皇子はお家芸の

　＜　大ちゃん音頭　＞を、踊ったのでごじゃりまする。

                           七つ七クセ悪いクセ

　　                    八つやっぱりなおらない

　
   　　　                 九つ困ったすびばせ

　　                    十でとうとうずっこけた

　　                  大ちゃん　ポッチョレ　いい男

　　　                 てん　てん　天下のいなかっぺ

　しかし、雲間の切れ目から見えるドローンに乗っている、ドローンジョ
　
　さまの姿に気がついたのは、誰ひとりいませんでした。

　（　キャッ・・なんと立派なもちもの！！！このスカポンタン・・）

　顔を赤らめながら、中継映像を子猿所長に送ったのでした。

　皇子の赤褌姿を見て、
　
（　こんなことが、アラン・ドローン！！　お前のようなやつは、いつか必ず

　　思い知らせてやる・・　）

　自分より目立つ部下を抹殺すべく、地団駄踏みながら子猿は悔しがったのでした。

　そんな事とはつゆ知らず、日墺友好の夕べはどんどん盛り上がり・・

　ホイリゲから流れるアコーデイオンの音に誘われ、満天の星たちもウインナー・

　ワルツを・・・・　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　

　
　このようにして、赤坂ではない、ウイーンの森の夜は、じゃかましく更けて

　いったのでした。　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　
　　　　　　＝＝つづく＝＝　　　　

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