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カテゴリ:おべんきょう
「Health Economics」の授業ではCost-Benefit Analysis(費用対利益分析という感じ?)やWillingness to Pay(支払に対する納得度)などといった概念を学んだ。
Cost-Benefit Analysisとは端的に言えば、かえってくる利益が費用を上回ればそのプロジェクトはやるべきだ、という考え方である。 (ファイナンスのNPV(Net Present Value)のようなもの) 企業からの視点であればその企業に利益をもたらすかどうかでプロジェクトの是非は決定される。 一方、Public Health(公衆衛生)という観点から見れば、費用と利益の規模も大きくなってくる。 例として出されたのがClean Air Act(空気浄化法案)。 施行のためには政府側や企業側にもちろん費用がかかる($27 billion)。 利益としては気管系の病気の患者の減少や未熟児の割合が減ること、そして入院患者であったはずの人々が生み出す労働力などを考えることができる(合計$110 billion)。 利益が費用を大幅に上回るこのケースにはGoサインが送られるべきだということになる。 この話を聞いて頭によぎったのが2005年2月16日に発効した『京都議定書』である。 二酸化炭素など温暖化ガスの平均排出量を減らす義務を先進国に負わせるこの議定書、日本やEU諸国の批准をよそにアメリカのブッシュ政権は批准を拒んだのだ。 クリントン政権が調印をしたのに後のブッシュ政権は批准を拒んだ。 まるでウィルソン大統領と国際連盟の加入のような関係である。 この疑問を教授にぶつけてみた。 私:「アメリカはなぜ京都議定書に批准しなかったのですか?Cost-Benefit Analysisの結果が悪かったからなのでしょうか?」 教授:「それは違います。国家レベルで長い目で見ればプラスになることは明白でしょう。ここにはPolitics(政治)が働いているのです。多くの利害関係者(石油企業など)がロビー活動で動いたのでしょう。ブッシュ政権が続く限りは批准はありませんね。」 ハーバード大学で政治の博士号も持っているこの教授は自称反ブッシュ(反共和党)であるため、それこそ政治的に偏った回答である可能性も否めない(苦笑)。 もしかしたらブッシュ政権の試算するCost-Benefit Analysisではマイナスとでたのかもしれない。 それでも、時の政権による判断が有力な支持者の意見を反映するということは想像に難くない。 大人の世界は複雑なのだ・・・。 授業の後はデュポンサークルのタイレストランで開催されたMさんの送別会に参加した。 荷造り支援のためにこちらにいらっしゃっているMさんのお母様も参加され、アットホームな雰囲気でいろいろ話せて楽しかった。 12年もアメリカで過ごした娘が結婚を機に日本へ帰国する。 娘がとうとう日本へ帰ってくるという喜びと嫁として巣立っていくという寂しさ。 短い期間にはとても消化しきれない思いをたくさんお持ちだと思う。 娘の幸せを自分の幸せのように喜ぶお母様の気持ちに触れることができてこちらまで嬉しくなった。 私にとってMさんは義姉のような存在だったので、お母様もお義母さんということだな(笑)。 ということで下北沢の手打ちそば屋にご一緒できる日を楽しみにしております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/03/29 06:29:48 PM
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