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カテゴリ:おべんきょう
『20年後に実現してるかな?』 2006年3月23日付の朝日新聞(第三面)は政府が2006~2010年度に重点的に実施する62の「戦略重点科学技術」を発表したことを報じていた。 言い換えれば近未来の我々の暮らしを技術によってどのように進化・変容させていくかの方針を発表したということである。 記事は62課題の中から特にセキュリティー対策・環境対策・医療技術を取り上げ、また12例を具体的に紹介している。 偶然なのか必然なのか、私が去年5月までの留学中の日記で取り上げたテーマと重なる部分が多くあったので、これらの日記とシンクロさせながら一部を紹介していきたい。 まずは【脳・免疫系の解明】と【情報科学と生命科学の融合】、そして【精神神経疾患の解明と治療法開発】という3点。 この3つの課題に共通するのが「脳の仕組みの解明」である。 政府はこれら3つの課題を2015年までに達成することを目標として挙げている。 アメリカ留学中、「Emerging Technology」という授業で脳の働きに関する研究の現状を垣間見た私は、その結果のもたらす危うさを憂えている。 (2005-04-07- 『頭で考えていることが読まれるようになったら・・・:脳の研究は諸刃の剣か!?』参照) 次に【再生医学、遺伝子治療】 政府は2015年頃までに心筋や血管の、2025年頃までに肝臓などの臓器機能の再生をすることを目標にしている。 やはり「Emerging Technologies」の授業でMedicine & Biogenetics(医療と遺伝子工学)について学んだ私は、アメリカにおける臓器移植の現状と再生臓器の可能性について論じている。 (2005-02-22- 『どこまで許される?:遺伝子工学と未来の医療』 参照) また、遺伝子工学という観点からは、遺伝子操作による子供の特質(Child Traits)の変更の是非について、あるいは臓器移植を繰り返しての寿命の延長についての教室での議論を紹介した。 (2005-02-24- 『平均寿命「無限大」の時代がやってくる?:でも脳のスペアは・・・?』 参照) 【ロボット技術】 2010年までに街角で子供達を見守るロボットを、2025年までには家庭での後片付けや乳児の見守り、食事補助のロボットを開発することを目標としている。 やはり「Emerging Technology」の授業のために『21世紀にロボットは人を支配するか?』というテーマの論文を読んだ私は、あらゆる業務をロボットに任せることによる人間の自滅という構図への危惧を抱いた。 (2005-01-23 - 『手塚治虫の世界のようにロボットが人間を支配するか?:怖いのは人間が考えるのをやめたとき』 参照) さらには、クラスメイトから紹介してもらった、ロボットの頭脳とも言うべきAI(人口知能)の原型を知ることができるホームページについても触れている。 (2005-04-14 - 『自分が考えていることをコンピューターに読まれる!?:進化途中のAIをご紹介』 参照) 【有害危険物質の探知・処理】 2010年度までにテロに使用されうる化学剤・生物毒素を現場で一斉検知する技術を、2012年度までには新しい爆薬の探知技術を開発することを目標にしている。 病院のCEOら経営陣にテロなどの緊急事態における経営のあり方を教えるトレーニングプログラム、『Hospital Emergency Management: Concepts & Implications of Weapons of Mass Destruction Terrorist Incidents(緊急時の病院運営:大量破壊兵器を用いたテロリスト事案の概念と関係)』に参加した私は、有事を想定したオペレーション策定の必要性を痛感した。 (2005-03-20 - 『テロが起きたときのあるべき病院の対応とは?:9時間の講習に出席』 参照) 最後に【深海・深海底掘削技術】 2010年度までに海底下7000メートルまで掘削できる技術の構築を目標にしている。 まさにこのプロジェクトの推進役として世界中を飛び回っていらっしゃるKさんと私が留学中に滞在していたワシントンDCでお知り合いになった縁でこの壮大な計画のお話を聞かせて頂き、興奮のうちに紹介したことがあった。 (2005-04-03- 『勉強会→花火鑑賞会→生演奏カラオケ!?』 参照)←ふざけた題名であるが間違いなくこの中で紹介されていますので(苦笑) 以上、政府の科学技術会議が研究目標として掲げた62の課題からいくつかを紹介してみた。 確かに科学技術の進歩がこれらの目標を達成すれば我々に恩恵がもたらされることは間違いないだろう。 しかし一方で、「進歩というものは新たな困難を引き起こす運命にある」ということも忘れてはならない。 これまでの人類の歴史が証明するこの命題については、「Emerging Technologies」の授業の最初のリーディング課題であった「The Life Cycle of Evolution: A Macro-Technological Analysis of Civilization's Progress(進化の周期:文明発展のマクロ技術的分析)」を紹介しながら論じている。 (2005-02-03- 『技術発展の行く末には何が待っているのか?:「進化のライフサイクル」を考察』 参照) 歴史は繰り返す。 繰り返し尽くしたその先には何が待っているのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/03/24 01:59:04 AM
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