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カテゴリ:おべんきょう

“The World is Flat”(世界は平らである)


引き込まれるように夜な夜な読み続け昨日の深夜に上下巻を読み終えた。(もちろん日本語で(笑))


ピュリツァー賞を3度も受賞したという著者、トーマス・フリードマンの主たるメッセージが本の題名になっている。(邦題は「フラット化する世界」)


世界中を飛び回っての丁寧な取材の積み重ねに驚嘆すると同時に自分の意見を持ちながらもバランスのとれた視点を持ち続けている点がすごい。


フリードマンは先進国(主にアメリカ)の視点、著しい成長を続ける国(インド、中国)の視点、途上国(アフリカ諸国)の視点、そしてテロリスト勢力の視点から現在の大転換の意味、我々がとるべき方向性を論じている。



上巻ではこんな問い掛けへの回答となる10の要因が具体的な事例満載で説明されている。



「いまだかつてない多くの人々がリアルタイムで共同作業し、あるいは競争している」環境を生み出した要因は何なのか?



「世界中の人々が、ある日突然、個人としてグローバル化する絶大な力を持っている」と気付かされた要因は何なのか?



それぞれの要素に対して様々な感想を抱いたが、この日記でそれら10の要因を並べ立てて全て解説しても退屈になりそうなので控えておこう(笑)


新鮮だった項目としては、我々が情報をただ受け取る(ダウンロード)するだけでなく自ら発するようになった、「アップローディング」や他企業の業務の重要なプロセスを担っていく「インソーシング」があった。


もちろんこのブログもアップローディングの一手段である。


そして、10の要因のうち私がもっとも注目したのが「アウトソーシング」であった。


日本でももうすっかりお馴染みの言葉であろう。


本書における定義を引用すれば、アウトソーシングとは「社内でやっている特定の限定的な機能、たとえば研究、コールセンター、会計処理、を抜き出して、他社にまったく同じ機能を果たさせ、その作業を戻して会社の全体的な業務に取り込む」ことである。

インドにおけるコールセンター業務の模様は、私も留学中にビジネススクールで受けた授業について過去の日記で紹介したことがある。

2004-12-02-『アメリカ英語を話しアメリカ名を持つインド人達:アウトソーシング引受会社の徹底ぶり』参照)


この日記を書いたのがもう2年前。


インドではパソコン、インターネット、光ファイバーという強力なインフラが広まり続け、「デジタル化できるあらゆるサービス、コールセンター、ビジネス支援業務、知識労働」を担う機会がますます拡大している。


従業員(医師・看護師等)がその場にいないと始まらない労働集約型であり、顧客(患者)が周辺に密集する地域密着型である特徴を持つ医療の世界でもこの動きは確実に進んでいる。

医師の診断、医療記録などの口述記録の書き起こしをアメリカの医師が眠っている間にインドにいる事務員が行い、アメリカの中小病院で撮影されたCTスキャンの読み取り(読影)をインドやオーストラリアの放射線科医が請け負う世の中なのである。


「デジタル化でき、切り分けることができ、作業をよそで行えるような活動は、いずれよそへ移されます」


ボンベイに拠点を置きアメリカの連邦政府らの会計業務のアウトソーシングを請け負う会社を経営するインド人社長の発言には説得力がある。




「この本を書いてるのはアメリカ人だし、海外へのアウトソーシングなんて英語を使う国だけの話じゃないの!?」



こんな疑問を持つ日本の読者がいるかもしれない。


しかし、本書でも少し触れられているが、日本から海外へのアウトソーシングもすでに始まっている。


5年前、名古屋で働いていたときに私自身が経験したことである。

取引先の大手外資系企業のコールセンターのオペレーターが大連にいる中国人だったのだ。

たまに怪しい時もあったが(笑)、彼らは、彼女らは流暢な日本語を話した。


当時は不覚にも「海外にセンターなんて作って日本語を話せる中国人まで雇って、大企業は金のかけ方が違うね~」なんてのんきな感想を抱いていたのだが(照)、今思えば誤った認識としか言いようがない・・・。


あくまで予想であるが、あれから5年が経過した現在、海外にある日本語のコールセンターはさらに拡大しているのではないだろうか。


さらに、日本においても英語を必要とする業務が増え続けている以上、日本からインドへの業務プロセスのアウトソーシングもこれから増えていくと私は考えている。


そう、我々日本人にとってもこの変化は他人事ではないのだ。


来たるべき大アウトソーシング時代に向け我々が生き残る道は何なのか。



「フラットな世界には『代替可能な仕事と代替不可能な仕事の二つしかない』」



やはりインドにありアメリカからのアウトソーシングを担う有力企業の社長の言葉である。



彼の言う『代替不可能な仕事』を担う「新ミドルクラス」に必要な人材像とは?



下巻の序盤を飾る著者からのメッセージの1つ1つを時間をかけてじっくり読んだ。

やはりくどくなってしまうので全ての項目についての詳しい言及は避けるが、ここではフリードマンが提唱する、アウトソーシングされ得ない人材の8つの特徴から4つを選んで簡単に紹介したい。


・偉大な合成役(シンセサイザー)


「知識とイノベーションの垣根を外へ押せば押すほど、思いもよらなかったような異質のものがまとまって、次の大きな付加価値の飛躍をもたらす」

異質のものをまとめられる人材、つまり、これまで関わりなどないと思われてきた異業種・異分野をつなぎ合わせて新たな付加価値を生み出す人が求められてくるのだ。




・偉大な説明役


「複雑なことをうまく説明できたら、ビジネスチャンスは確実に広がる」


営業やコンサルティングにも大切なスキルと言えるだろうが、物事をきちんと相手に説明する能力はますます大切になってくるだろう。




・偉大な適応者(アダプター)


適応能力の高い「なんでも屋」を指している。

著者によると、「なんでも屋」は技術力は高いが視野の狭いスペシャリストや、逆に視野は広いが技術力に欠けるゼネラリストとも異なるという。



「なんでも屋は、持ち場や経験の範囲が徐々にひろがるのに合わせて技術力を応用し、新たな能力を身につけ、人間関係を築き、まったく新しい役割を担う」



う~む、そんなスーパーマンおるんかい(笑)!?


しかし私の琴線に触れたのはそれに続くこのような記述である。


「なんでも屋は、たえず応用するだけでなく、学び、そして成長する」



学ぶこと(input)と行動し結果を出すこと(output)を意識することが大切なのだと感じた。



そして、最後に紹介するのが


・熱心なパーソナライザー


「人間は他人との関係を楽しむ社会的動物である」


熱意や心遣い、そして「誰も思いつかないようなクリエイティブな味つけ」といったパーソナルな要素が自らの仕事をかけがえのないレベルに引き上げるのである。

本書で述べられているシステム化、効率化の流れに真っ向から反しているようにも見えるが(苦笑)、顔の見えないやりとりが高度に発達した世の中だからこそ、温かさや個性を伝えられる人材が貴重になってくるのだと解釈することもできる。



以上、上下巻800ページに及ぶ「フラット化する世界」の読書感想文であった。

熱くなってけっきょくは非常に長い文章になってしまった(苦笑)

「偉大な説明役」とまではいかずとも、読み終えたばかりの私の「熱心なパーソナライザー」っぷりが伝わっていれば幸いである。


先日紹介した『ウェブ進化論』と合わせて、かなりおススメの本であるので皆さんにもぜひ読んで頂きたい。



フラット化する世界(上)

フラット化する世界(下)








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Last updated  2006/06/29 10:21:22 PM
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