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カテゴリ:おべんきょう
「インテリジェンス(Intelligence)」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。
辞書で調べれば最初にくるのは、「知能」、「知性」、「理解力」、そして「思考力」といった意味だろう。 しかし、この言葉にはさらに、「情報」や「諜報機関」という意味もあるのだ。 「先生、われわれはインテリジェンスという言葉を、情報や諜報という意味でいともたやすく使っていますが、ほんとうは何を意味するのでしょうか」 「知性によって彫琢しぬいた情報。それこそ、われわれがインテリジェンスと呼ぶものの本質だ」 「情報活動とは、錯誤の葬列なのだ、スティーブン。でも、誰かが担わなければならない責務なんだ」 ウルトラ・ダラー 先ほど読み終えたこの小説にはりめぐらされた「インテリジェンス」の数々。 錯誤の葬列という言葉を読んで、ウソを突き通す、あるいは見破る技術について書いた過去の日記を思い出した。 自分が持っている情報をどんな狙いを持ってどの対象にどれくらいの真実を含めて渡すのか。 複雑に発達したコンピューターでも、当分はこのような複雑な駆け引きを担うことはできないのではないだろうか。 こんなにさらけ出してしまっている私がインテリジェンス・オフィサーになれないことは動かぬ事実であろう(笑)。 「これを小説だと言っているのは著者だけだ!」 本の帯に記された言葉が改めてリアルに感じる。 北朝鮮が作ったとされる超精巧な偽ドル「ウルトラ・ダラー」をめぐるこの「小説」には、歴史上の事実、実在する機関、人名が多く登場する。 初版が今年の3月1日だというのに、すでに北朝鮮のミサイルに関する動きまで描かれている。 ほ、ほんとにフィクションなのか!? 世界中を取材した経験を持ち、元NHKワシントンDC支局長としても有名な著者の手嶋龍一氏だからこそ実現できたディテール、そしてわけあっての脚色なのだろう。 38年前に起こった事件の現場が私の地元の荒川区であったり、留学をしていたワシントンDCが頻繁に登場したりと自分にとっても他人事とは思えなかった。 「スティーブンが、全日空機でワシントンのダレス国際空港に到着したのは、午前九時四十分だった。」 日本からワシントンDCへの直通便は1日1便しかなく(今もかな?)、私もこの便でやってきたのだ! 「車は予約してあった、ヘイ・アダムス・ホテルに着いた」 ヘイ・アダムスは無断で上がったらホワイトハウスのスナイパーに打たれてしまうという屋上のテラスにも行ったことがあるぞ! 「コリンズは、ロシア・ウクライナの軍事情報の分析担当官をペンタゴンに訪ねようとしていた」 ペンタゴンの内部侵入(?)には私も成功している! そんなこじつけはともかくとして(笑)、実は当時NHKワシントンDC支局長だった著者の手嶋さんには留学中にSさんのご紹介で何回かお会いしてお世話になった。 手嶋さんが主催された少人数での勉強会にも参加させていただいたことはちらりと過去の日記でも紹介した。(内容はあえてほとんど触れていないが(笑)) 非常に知的で上品な方であるが、今回「ウルトラ・ダラー」を読み、さすが一流の報道マンという描写に感嘆する一方でオシャレにもそうとうこだわりをお持ちであることがわかった。 その手嶋さんをご紹介してくださった在ワシントンDCのSさんに「ウルトラ・ダラーを読んでるんですよー」とメールを打った。 その返信に気になる一言が。。。 「ちなみに、俺出てくるから、よろしく。」 えー、まじですか!!!??? まさか、コリンズ役? 答えを教えてください! あ、この本は小説としてもドキュメンタリーとしてもおススメである。 どっちかわからなくなるのがたまにキズであるが(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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