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カテゴリ:おべんきょう
「テレビはなぜ、つまらなくなったのか」 こんな刺激的なタイトルを目にして買わずにはいられなかった。 テレビはなぜ、つまらなくなったのか ■ 金田信一郎 著 ■ 256ページ ■ 定価 1,680円(税込み) ■ ISBN 4-8222-0158-9 ■ 日経BP社 ■ 2006年6月27日発行 本書で扱われている範囲は民放の地上波テレビ局(日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東)を取り巻く環境である。 現在の我々の生活において、テレビは欠かすことのできない必需品であろう。 1人暮らしの人は特に、その静寂から逃れるためにBGM代わりにテレビをつけたりしていないだろうか。(え、私だけ(笑)?) しかし、ふとこんな疑問がよぎったこともないだろうか。 「本当にテレビって必要なのか?」 実際、私は名古屋赴任時代、テレビのない生活を1年半ほど経験したが、特になんてことなかった。 ニュースなどの情報はインターネットで手に入る。 ドラマや映画はパソコンでDVDを見ることもできる。 生活の一部として当たり前に存在するテレビはこれからどうなっていくのか。 この問い掛けへの回答を考えるためにはテレビというメディアがどのように登場し、繁栄し、そして衰えていっているのかを学ぶことが助けとなる。 その意味で、今回購入した本は非常に勉強になった。 力道山、長嶋茂雄、手塚治虫、大橋巨泉、山口百恵などなど、テレビの興亡に深い関わりを持つスターを通して描かれるエピソードの数々。 広告メディアとして不動の地位を築いていたラジオを抜き去り、世界のクロサワを自殺未遂にまで追い詰めるほど映画界を窮地に立たせたテレビの影響力。 一方で、1969年に始まった伝説のバラエティー番組、「巨泉・前武 ゲバゲバ90分!」の企画者である日本テレビの名物プロデューサーだった井原高忠氏は、在職中すでにこう言っていたという。 「タダでいいものが見られるはずがない。だって、大衆を追いかければ、どうしても最大公約数の内容になるから」 そして著者は現在のテレビ番組についてこのように述べる。 「アドリブ中心のお笑いバラエティー、トレンディードラマ、女子アナ、そして映画製作……。すべては80年代フジテレビの焼き直しでしかない」 私も著者のこの見解には賛成である。 民放間におけるテレビ局ごとの差別化というものがどんどん失われているように思える。 そしてその背景として著者は今なお残る「護送船団」方式を挙げている。 「それでもテレビ局が破綻しないのは、競争が存在しないからだ。言い換えれば無競争だからこそ、テレビ番組は停滞してしまった。限られた放送電波の権利を握るテレビ局。だが、全国放送を担うキー局は、40年にわたって新規参入が起きていない。」 ケーブルテレビやインターネット放送から流れる無数の番組との競争に彼らは生き残ることができるのだろうか。 なんてことをテレビをBGM代わりにつけながら考えているのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/07/24 12:43:01 AM
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